「皇室のインスタデビュー」海外メディアはどう見た? 宮内庁がアカウント開設
天皇皇后両陛下の活動を発信する、宮内庁のインスタグラムアカウントが立ち上げられた。海外メディアは、ついに日本の皇室もソーシャルメディア時代に足を踏み入れたと大きく報道。アカウント開設の意図や、投稿の内容などについて意見を述べている。
◆フォロワー大量獲得! 変革への一歩か?
ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、日本の宮内庁が4月1日に初めてとなるソーシャルメディアの投稿を行ったことを報じた。翌日の夕方には、さらに20の投稿があり、約50万人のフォロワーを獲得したとしている(9日現在のフォロワーは81.5万人)。
BBCは、生き神様とあがめられた昭和天皇の即位から約100年後の今、世界最古の世襲王朝と言われる日本の皇室は、まったく異なる姿を見せつつあると述べる。現天皇は、若い世代との関わりを持ち、皇室を現代に蘇らせることを誓っていると説明。英王室のソーシャルメディアデビューから15年後ではあるが、皇室のインスタデビューは、その明確な一歩だとしている。
◆目新しさなし… 期待外れの声も
皇室のインスタグラムへの海外メディアの関心はかなり高かったものの、多くのメディアが投稿は非常にフォーマルで期待外れだったと述べている。
BBCは、両陛下や愛子さまの写真や動画が取り上げられているものの、個人的な記録や感想、あるいは皇族のありのままの写真などを見せる場にはなっていないと指摘。「投稿はとても退屈でプレスリリースと同じような写真だ」という識者の意見を紹介した。
NYTも、インスタ・アカウントは宮内庁のウェブサイトとほぼ同じだとし、派手さはなく、舞台裏的な内容や自然発生的なものもないと説明。ただ、皇族がいつものように礼儀正しく写真に写っているだけだとしている。ガーディアン紙は、自撮りや絵文字、天皇、皇后、愛子さまらのカジュアルなショットを期待していたファンは、がっかりしたかもしれないと述べている。
◆小室さん問題が引き金に? 宮内庁が学んだ教訓
皇室のアカウント開設の理由の一つとして、海外メディアがあげているのが、眞子内親王の結婚に関する報道だ。ガーディアン紙は、物議を醸した小室圭さんとの結婚には否定的な報道が相次ぎ、これにより皇族に対する宮内庁の慎重な管理に変化が生まれたと説明している。
大東文化大学のギャレン・ムロイ教授も、その経験から宮内庁は多くを学んだと指摘。結果として、皇室に関するソーシャルメディア報道を陰謀論者らに任せるのではなく、ある種の主導権を持ちたいという考えに至ったのだろうとしている。さらに、投稿のコメントをオフにすることができるインスタグラムを選んだのは賢明だと述べた。(サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙)
ソーシャルメディア・アナリストのアンドリュー・ヒューズ氏は、キャサリン妃のフォトショップ事件など、最近の一連の英王室の騒動も頭にあるのではないかと述べる。ただ、日本人と皇族の関係は、イギリス人と王族の関係とは異なり、より敬虔で敬意が払われていると指摘。宮内庁は常にコンテンツを提供する必要はなく、誤情報を最小限に抑えるためのブランド管理をすれば良いと述べている。(BBC)
結局、当面はクローズアップを求められても、皇室は一般大衆から安全な距離を置くという今までのやり方が続くと見られている。将来的には皇族自らの投稿を期待したいところだが、ネット上には、「天皇陛下が『今日のランチ(ハートの絵文字)』などと書き込むはずがない」というコメントも出ており、近すぎる皇室への期待はなさそうだ。