侍ジャパンと対戦した欧州代表に最多選出のスペイン 現地でプレーした日本人が1年を予想

2024年3月6日と7日に行われた野球の日欧戦。

その2連戦欧州連合チームとして最多選出7人だったのが、スペインです。

スペイン代表選手には、国内クラブチームに所属する選手もいました。

数日後の同月9日には、スペイン野球リーグのトップカテゴリーである「リーガ・エスパニョーラ・デ・ベイスボル・ディビジョン・デ・オノール」が2024年シーズン開幕。

スペインでプレーした経験のある筆者が、国内のクラブチームや、力関係の構図を解説します。

スペイン野球リーグの球団紹介

筆者がかつて所属していたチームは、「CB Barcelona」。

同チームはFCバルサ傘下から運営が切り離され資金面の都合等もありますが、主力選手が上位クラブやイタリア、中南米の冬季リーグのチームへの移籍等で年々戦力的に厳しくなっています。

同月25日時点で、開幕2連敗と苦戦を予感させる苦いスタートを切りました。

テネリフェ・マーリンズ

テネリフェ・マーリンズが創設されたのは、1997年。国内では、比較的最近で作られた新しいチームです。

レギュラーシーズン優勝13回、国王杯6回のタイトルを誇っています。

近年、スペイン代表選手に多く供給しているチームとなっており、国内最強と言っても差し支えがないほど成績面が圧倒しています。

今年も独走の気配が漂っています。

「バレンシア・アストロズ(CB Astros)

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Astros Beisbol Valencia(@astrosbeisbolvalencia)がシェアした投稿

テネリフェ・マーリンズと並んで、多くの現役スペイン代表選手を抱えるバレンシア・アストロズが創設されたのは2001 年。

2008年からディビジョン・デ・オノールに昇格。

2014年2月には、CB アストロズのフィールドと施設が、MLBのロサンゼルス・ドジャースとの業務提携等の協力によりバレンシアで最初のビジネスクラブとしての本拠地運用が始まりました。

メジャーリーグチームが主催するヨーロッパのアカデミーがテネリフェの他、バレンシアでも運用されています。

2017年、2018年にはコパ・デル・レイで2連覇を果たしました。

テネリフェに対抗できる戦力を抱えている故、今年こそディビジョン・デ・オノールの初タイトルがほしいところです。

サン・イナシオBE

バスク州にあるサン・イナシオは1950年代初頭に創設。

元々はレギュラーカテゴリーよりもユースカテゴリーが強く、60年代と80年代にスペインのユース選手権で2回優勝しており、それまでレギュラーカテゴリーはバスク州の地域リーグでしたが1990 年代初頭にディビジョン・デ・オノールに昇格。

しばらくは上位に食い込んでいませんでしたが、2010年代には上位に顔を時折出す事も。

その後、レギュラーシーズンのタイトルはないものの国王杯では2010年、2019年の2度準優勝。

悲願はやはり2強を撃破してタイトルを獲得といったところか。

CB ビラデカンス

 

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Club Beisbol Viladecans(@beisbolviladecans)がシェアした投稿

 

ビラデカンスは1945年に設立。

最初の数年間は親善試合の開催とプロモーション活動の実施に専念し、バルセロナ近郊の町でこのスポーツを広める普及活動をしていた組織でした。

公式戦への参加は1954 年のことです。

カタルーニャの地域リーグに参戦し、1957年に「ラジオ・シウダー・デ・バルセロナ」で初めてタイトルを獲得しました。

その後国内選手権では1980年に初タイトル。

以後も1985年、1987年、1993年の4度にわたりレギュラーシーズンでタイトルを獲得し、国王杯には1982年に初出場でタイトルを獲得したのを皮切りに2000年まで19連覇を果たしました。

近年カタルーニャでは、最も戦力の充実したチームで、2強を倒す射程圏にいるとも言えます。

CBS サンボイ

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ClubBeisbol Softbol SantBoi(@cbssantboioficial)がシェアした投稿

 

クラブ創設は1971 年。

1983 年までは、クラブの拠点地名である「シンコ・ローサス」と呼ばれていましたが、市全体を表す名称にチーム名が変更されました。

最初の数年間、活動の場は近隣のすべてのチームと共有するサッカー場でした。

その後移転し、徐々に改修されて現在の野球場となりました。

クラブがこれまでに獲得したタイトルは国王杯では2002年、2003年、2006年、2015年、2016年、2019年の6度。

レギュラーシーズンは1997年、1999年、2000年、2010年の4度です。

近年力をつけてきており資金力やリクルートもあってか、一時期はジュニオル・ゲラやアンソニー・ビスカヤ等の選手が在籍していた事も。

非常に充実した戦力を常に維持し、レギュラーシーズンでもテネリフェやバレンシアを一蹴し優勝の射程圏にいるといっても良いでしょうか。

CBS バルセロナ

筆者の古巣であるCBSバルセロナは、FCバルセロナが2011年に野球部門を運営から切り離す決定をしたと同時に誕生しました。 

前身の創設は1941年。

レギュラーシーズンであるディビジョン・デ・オノールのタイトルはFCバルセロナ時代含めると最多の19回を誇り、国王杯では4度のタイトルを獲得していました。

近年ではFCバルサの運営からの切り離しの影響があってか資金面で苦慮。

主力選手の他の国やテネリフェ、バレンシアへの流出等でレギュラーシーズンでも苦戦を強いられ

レギュラーシーズン優勝は2012年、国王杯優勝は2014年から遠ざかっています。

今年こそ最低でも来年の国王杯の出場権はほしいところです。

ベイスボル・ナバラ

前身である「CD Amaya」の創設は1947年。

1970年代後半になると、1979年に国内選手達で初タイトルを獲得しました。

国内リーグ再編後も1991年、1992年にディビジョン・デ・オノール連覇。

2008年にはナバラの傘下と近隣のクラブ間の統合により、CAD Irabia、CD Amaya、CD Argaで再編され、現在に至ります。

今季は近年顔を出せていない上位に食い込んで行けるかに期待がかかります。

CBS トロス

事実上の「CD Pamplona」の後身チームで2020 年、CBS トロスはディビジョン・デ・オノールに加わりました。

前身時代ではなかなか上位に顔を出せていませんでしたが、新たに新設された後身チームとしての実績を今季以降築けるかに注目です。

CBS ミラルブエノ

サラゴサをホームにするチームで、クラブ創設は1988 年。

当初は近隣で野球をしていた若者たちのグループ内で誕生しました。

ディビジョン・デ・オノール昇格は2018年と日が浅くこれからが楽しみになるチームと言ったところでしょうか。 

CBS アントルチャ

クラブ創設は1958 年。

バレンシア州内では最も古いクラブとなっています。

2020年にディビジョン・デ・オノール昇格。

こちらのチームも、昇格が近年のためこれからが勝負のチームといったところでしょうか。

C.A.Dイラビア 」

ナバラ州パンプローナを拠点とし、元々はナバラと横の繋がりのあったクラブで創設時期も同じ時期になります。

ディビジョン・デ・オノールには今年から参戦。

昨年まではナバラの地域のリーグに属していてチームとしての目標になる指標はおそらく1つでも勝ち星、1つでも上の順位を目指すといったところでしょうか。

2024シーズンディビジョン・デ・オノール順位予想

1  テネリフェ

2 バレンシア

3 ビラデカンス

4 バルセロナ

5 サンボイ

6 サンイナシオ

7 アントルチャ

8 ナバラ

9 ミラルブエノ

10 トロス

11 イラビア

侍ジャパンと戦った欧州代表 現地でプレーした日本人が見る欧州の課題と新星

筆者: 岩本剛

スペインメディアに取材された時の筆者

プロフィール:大阪府泉大津市出身

社会人野球、東京LBC、ゴールドジムBCを経て2012年以降は海外を渡り歩き、これまでアメリカのサマーリーグやオランダやスイス等の欧州のリーグを転々し、2017年から直近までスペイン国内リーグ、ベイスボル・バルセロナに所属。

コロナ禍を契機に一度は引退をしたものの、ベースボールユナイテッドで力投を見せていたバートロ・コローンの勇姿に惹かれ現役復帰を決意し、今現在、現役復帰へ向けてリハビリ中。

Text by 岩本 剛