中国軍で大規模人事異動―海・空軍への権力シフトか?
23日、中国の軍上層部の大規模な人事異動が報じられた。注目株は、馬暁天将軍が次期空軍司令官へ、張陽将軍が総政治部主任へと指名された点だ。両氏は、12人からなる共産党中央軍事委員会(中軍委)入りをほぼ確実とした。
昨年来伝えられていた軍内の人事異動。軍の影響力強化を示唆する流れには、劉小奇元国家主席を父に持つ劉源氏の、総後勤部政治委員就任が含まれていた。しかし同氏が、スキャンダルにより失脚した薄熙来氏に連座する形で、中軍委入りを阻まれたのはほぼ確実とされる。
まもなく国家主席の座を退く胡錦濤氏が、鄧小平氏や江沢民元国家主席の例に倣い、その後2年間、中軍委の主任に残留することが予想される中、政治に隠然たる影響を及ぼす人民解放軍の動向から目が離せない。
Financial Timesの報道姿勢―権力のイス取りゲーム 残るは5席―
注目人事のうち、次期国家主席の習氏と懇意とも伝えられる馬将軍は穏当とし、張将軍をダークホースだったと報じた。今回の人事は、人民解放軍のなかで、従来最高位を占めてきた陸軍から、海軍・空軍へのパワーシフトを予兆している。
第18大では、綱紀により、中軍委の12人のうち、8人の辞任が確定とされる。胡錦濤氏は中軍委主席に残留の見通し。今回の人事により、新メンバーの3人が決定した。あと5人のうち、北京は誰を選ぶのか、それが注目される、と報じた。
The New York Timesの報道姿勢―出世街道に乗ったのは?―
馬暁天将軍が次期空軍司令官に昇格。次期中軍委入りを確実にするこの玉突き人事により、王冠中氏が新しく副総参謀長になったほか、空軍政治委員には新疆ウイグル軍区政治委員の田修思中将が、朱福熙空軍政治部主任が成都軍区政治委員に就任した。
中国の政治に大きな影響力を持つ人民解放軍は、来る第18大でも重要な役割を演ずると目され、その人事は今後も注目される、と報じた。
The Wall Street Journalの報道姿勢―領土拡大をもくろむ中国 軍内で陸から空・海へのパワーシフト―
中国人民解放軍上層部の人事異動について、識者はいくつかの観点から注目しているとした。第1に、胡錦濤氏が、国家主席と共に、中軍委主席の座を明け渡すのか、あるいは半ば伝統の異動に沿って、今後2年間その座に君臨する、つまり、習氏の軍への影響力をそぐのか、という点。第2に、政治への強い影響力をうかがわせた劉源氏が、薄氏に連座して出世街道から外れ、生粋の軍人肌を思わせる馬氏が浮上した点。第3に、空席となった制服組の中軍委副主席という、中央政治局にも入る重要ポストが、従来の陸軍ではなく、空軍、海軍から選ばれるのではないかとされる点だ。特に第3の点は、太平洋、インド洋、さらにはその先の覇権をも目指す中国が、アメリカに挑み、隣国との領土戦争を見据えていることをうかがわせる、と報じた。