カタール首長ガザを訪問―カタールの意図と周辺国の反応―
カタールのハマド首長が23日、パレスチナ自治区ガザ地区を訪問した。2007年にイスラム原理主義組織ハマスが実効支配してから、外国の指導者が同地区を訪れるのは初めて。カタール側は今回の訪問について、ガザ再建計画を始めるための人道的なものだと説明した。計画の基金は4億ドル(約320億円)規模だという。
Financial Timesの報道姿勢―近隣国で批判飛び交う。カタールは前向きな姿勢―
カタール首長のガザ訪問に対する近隣国の反応と、カタールの姿勢を報じた。
今回の訪問で、カタールは、パレスチナ自治区政府やイスラエルからは激しい非難を受けている。自治区は、今回の訪問が地域統合に向けての妨げになったと非難。またイスラエルは、資金を援助することで、自治区が大きな力を持つことを懸念している。
対してカタール首長は、「これは信頼を得る上でのとても重要な訪問であり、自治区を分離させようとしたものではない。」とコメントしている。またある専門家は、この訪問が他のアラブ諸国のガザ訪問を誘発し、協力して地域を発展させていく方向に向かう可能性もあると、前向きなコメントを残した。
The New York Timesの報道姿勢―影響力を増すカタール―
今やカタールは、昔のような小国ではなく、大きな影響力を持つ地域の核になりつつあると報じた。今回のガザ訪問でも、カタールは、ハマスの首長から「これは歴史に残る英雄の訪問だ。」とまで評価され、感謝の言葉を受けた。カタールは石油や天然ガスなどの資源を武器に、世界での立場を確保しており、アラブ諸国に支援をする一方で、イスラエルやアメリカとも良好な関係を築いている。
カタールは、パレスチナ自治区政府にもガザを訪問することを求めた。イスラエルからの反発よりも、何の政策もなく放っておくことの方が痛ましい、と述べている。
The Wall Street Journalの報道姿勢―パレスチナはマイナス成長、雇用の増加の必要性―
カタールの首長は、他のアラブ諸国がもっとガザを訪れ支援をすれば雇用が増えるとして、他国に訪問の必要性を訴えた。ガザ地区は1994年比で10%もGDPが減少している。これは失業率の増加などを引き起こし、国内の暴動などにつながる可能性がある。こうした懸念からカタールは4億ドルのインフラ投資を行い、高速道路や大規模な住宅地、病院などの整備を支援する。
さらに、ガザ地区を実効支配するハマスと、パレスチナ自治区政府との関係改善にも取り組んでいる。しかし今のところ、これらの行動は他国からは批判されている状態だと指摘した。