「マスク着用」「下がらない参加費」 川内優輝が考える、マラソン大会の申込者数が減った理由

画像はイメージ(Flicker/ Peppe702

近所を見渡せば、ランニングしている人を1人くらいは見かけるもの。

東京都内にある皇居周辺では、普段からランナーが走っている様子を目にすることができます。

マラソン大会も各地で行われ大勢のランナーが参加していることから、変化はないように見えます。

ですが大会の申込者数を見ると、特にコロナ禍以降で下がっている傾向があるのです。

一方、海外の主要大会では減少は見られません。

NewSphereの取材に応じた「公務員ランナー」として知られる川内優輝選手は、考えられる原因に、「5類」後も残るマスク着用の習慣や、コロナ対策で高騰したままの参加費などを挙げました。

日本の主要マラソン大会の申込者数変化

まず、国内における主要大会の、約5年ごとのフルマラソン参加申込人数の変動を見ていきます。

那覇マラソン:31,170人(2013年)、28,395人(2018年)、13,402人(2022年、定員は20,000人)

横浜マラソン:66,831 人(2015年※1)、43,927人(2019年)、22,007人(2023年)

福岡マラソン:46,547人(2014年第1回)、40,797人(2018年※2)、24,266人(2023年)

京都マラソン:48,711(2013年)、65,948人(2018年)、26,795人(2024年大会)

大阪マラソン:151,410人(2013年)、120,827人(2018年)、2023年大会は2万8620人(一般枠)に対し定員割れ

東京マラソン303,450人(2013年)、320,794人(2018年)、293,275人(2020年、一般エントリー数)

※1 横浜マラソンは2015年からフルマラソンを開始
※2 車いす競技とファンラン含む

2020年からのコロナ禍以降、多くのマラソン大会は定員を減らしたり、大会そのものを中止にしたりするなどの措置を取りました。

2022年から大会を再開したり、定員をコロナ禍前に戻したりするも、エントリー人数は以前に比べて落ち込み、大阪マラソンのように定員割れというケースも多く見られるようです。

その理由を考えてみました。

マラソン参加費が高騰

まず考えられるのが、マラソン大会の参加費が高騰ではないでしょうか。

こちらも同様に、およそ5年ごとの違いをまとめてみました。下記の参加費は、一般枠のフルマラソンです。

那覇マラソン:5,500円(2013年)、6,500円(2018年)、9,800円(2023年)

横浜マラソン:15,000円(2015年)、15,000円(2019年)、20,000円(2023年)

福岡マラソン:10,000円(2014年)、10,800円(2018年)、16,000円(2023年)

京都マラソン:12,000円(2013年)、12,000円(2018年)、18,000円(2024年)

大阪マラソン:10,000円(2013年)、10,800円(2018年)、17,200円(2023年)

東京マラソン:10,000円(2013年)、10,800円(2018年)、16,500円(2024年)

都市部でのマラソン大会なら、道路を一定時間ブロックし、ランナーや見物客の安全を図るための警備員の配備も行います。

2013年にボストンマラソンで発生した爆弾テロは、マラソンファンでなくとも衝撃的な事件でしたが、このテロ以降、マラソン大会は警備費を増額。

またコロナ禍中は、アルコール消毒液など感染対策のため、参加費を値上げしていました。

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が「5類扱い」となり、感染対策が緩和された分は減額されました。

ですが今度は、物価高が参加費高騰につながっているといえそうです。

パンデミック

2020年以降、新型コロナウイルスのパンデミックにより多くのマラソン大会が中止または延期されました。

これにより、ランナーのモチベーションが低下し、一部のランナーのマラソン離れが起こったとも考えられます。

ランニングシューズの高騰

ランナーは、最新のランニングシューズや機能性の高いウェアやGPSウォッチなどをそろえると、5万円〜10万円程度かかると言われており、多額の出費が必要になります。

例えば近年ランナーに人気の厚底シューズの値段を見ると、ナイキの「ヴェイパーフライ3」の定価は36,000円弱。

以前のランニングシューズは、高くても15,0000円程度でしたが、今や2倍ほどに値上げが起きています。

ランニングは本来、「シューズさえあればいい」と言われるほど手軽に始められるスポーツ。

ですが、そのシューズへの投資額が増加しているのです。

Text by 千草ルシア