中国経済は堅調?
17日、中国の温家宝首相は、第3四半期の経済成長率が良好であり、政府の掲げる年間経済成長率目標 7.5 % が十分達成可能である、と発表した。さらに同首相は、政府の経済政策が功を奏している点について言及したが、一方で大きな課題もある。
各紙は中国の今後の経済見通しと政策課題に注目し、報道した。
Financial Timesの報道姿勢―中国経済の行方―
専門家の見解を報じた。まず、温家宝首相が楽観的な経済見通しを発表する中、アナリストたちも中国政府の年間経済成長率目標である 7.5 % は達成可能であると見込んでいる。ただし、中国経済にとって今年度は1990 年代以降最悪の1年となる、という見方は変わらないようだ。それでも、中国経済がほぼ底を打ったようだとの認識も示されている。ゴールドマン・サックスのストラテジストによると、資金調達の改善とインフラ投資の増加に下支えされることによって、中国経済は第4四半期に向かって回復基調に入る可能性があるという。
The Wall Street Journalの報道姿勢―経済課題と政策手段―
温家宝首相によると、第4四半期の目標は、実行されている政策の成果を検証し確保することであるという。それが完了するまでは新たな政策手段を取らないとしている。すでに打ち出された政策手段には、租税優遇措置や消費者に対するインセンティブがある。これは、同首相が優先課題としてかかげる貿易と内需の拡大に対応するものである。 9 月の輸出成長率は前年比 9.9 % と驚くほど好調である一方、輸入の成長は 2.4 % に過ぎなかった。さらに、鉄鋼部門の生産過剰に引き続き対処するとともに、不動産については、家の購入とデベロッパーへの銀行融資に制限を加え、今後も継続して価格の安定を図ると同首相は述べている。
上記のように温首相の発言をベースに中国の経済対策を詳細に紹介し、その効果について踏み込んだ分析は避けた。
The New York Times の報道姿勢―国有企業改革をめぐる対立―
中国の国有企業による独占が、中国経済の大きな負担となっていることを取り上げた。
第一に、私企業の新規参入が阻害されている。第二に、経営者による賄賂などの経済犯罪が頻発している。第三に、経費の透明性が確保されていないため、不当に高い価格が設定されている。中国政府は独占に歯止めをかけるつもりであるが、容易ではない。政治的に重要な職を兼務する国有企業の幹部たちが、「中国経済の牽引車」を盾にして改革に反旗を翻しているからだ。例えば国家電網公司(中国最大の電力配送会社)のトップは、電気の安定供給や遠隔地からの再生可能エネルギーの送電を実現するために、国有企業のさらなる巨大化を主張しているほどだ。
世界経済に停滞感が漂い内需拡大をねらう中国にとって、競争力強化につながる改革が行われるかどうかは非常に重要といえる。