EU首脳会談開催―各紙とも進展への期待は薄い―
18・19日、EU首脳会談が開かれる。会談では、単一の銀行監督機関のもとに銀行連合を構築する案や、EUが各国の予算に介入するなど予算集中管理化案が議論される予定である。
銀行連合についてはドイツなどの反対があり、またドイツは予算集中化についても独自案を出すという。海外各紙は足並みの乱れを指摘する一方、この会談は重大な結論の決定を予定しておらず、11月の米大統領選や12月の次回首脳会談を待つ必要があるとしている。
Financial Timesの報道姿勢―銀行連合案の失速―
ドイツなどの非協力により銀行連合案が失速しており、推進派との軋轢が強まっていると強調している。推進派から見ると、ドイツは、急ぎではない疑義を次々持ち出して論点をそらすなど時間稼ぎをねらっているようだ。
ドイツもすでに6月時点で大筋合意していたはずだが、設置される銀行連合の監督者が「効果的かつ確固たるもの」と確認されてからの話だ、と主張しているという。ドイツの態度は断固としているが、首脳会談結論の草稿上では、6月合意は全面的に尊重される結論になっている、と伝えている。
International Herald Tribuneの報道姿勢―静かな会議―
諸問題は解決しつつあるか切迫してはいない情勢で、首脳会談は概ね荒れそうにはないとの論調である。
ギリシャ危機は、ギリシャのユーロ残留が決まったことで時間的余裕が生じ、米大統領選までは慌てて何かを決める必要はないという。スペインはラホイ首相の努力により、クリスマス前になるであろう欧州中央銀行(ECB)の支援を受け入れる準備は大丈夫だとしている。
懸念としては、ドイツなど「北部の豊かな国々」が銀行連合案に反対している点、イギリスがEUの予算浪費が過ぎると抗議している点、各機関が「正統でも効率的でもない」というEUの、長期的な制度・構造改革における議論の迷走を挙げている。
The Wall Street Journalの報道姿勢―論戦に向け“塹壕”構築中―
銀行連合およびユーロ圏予算の集中化について溝が深まっており、各国が論争に備えて「塹壕を掘っている」と評している。ドイツは銀行連合について、「スピードよりも質を重視している」ものと説明し、また予算の集中化について独自に踏み込んだ案を出すが、すでにフランスなどに反対されてきたと伝えている。
これらの懸案の結末については、12月の次回首脳会談が注目されるとしている。