海岸に浮かんだ大量の魚の死骸… 専門家は「今後身近な地域で起こりうる」

画像はイメージ(Flicker/ [Stewart Butterfield]

テキサス州の海岸に、大量の魚の死骸が浮かんでいるのが発見されました。

Quintana Beach County Parkが、Facebookでその光景を投稿しています。

大量の魚が死んだ理由は「水中の溶存酸素の低下」

この場所は、テキサス州のメキシコ湾に面するフリーポートにあるキンタナビーチという国立公園。

魚の大半は「Gulf menhaden・ゴルフメンハーデン」という品種で、北米大西洋に生息するニシン科の仲間です。

大きいものは30センチ近くに成長しますが、骨が柔らかく酸化しやすい性質から肥料や魚粉の材料とて加工されることがほとんどで、地元では食卓に上がることはないと言われています。

Foxによると、数千匹にも及ぶ大量の魚が死んだ原因は、水中の溶存酸素の低下によるものだと公園当局は説明しています。

魚の死骸が海岸に流れ着いた当時、高湿度で曇りの日が3週間以上続いた上、波が穏やかだったそうです。

メンハーデンは、浅瀬を群れで泳ぐため、気温の上昇による低酸素状態の影響を受けやすくなるのだそう。

テキサス A&M 大学の海洋生物施設のケイティ セント クレア氏はTexas Standardのインタビューで、テキサスに限らず今後自分たちの身近な海域で起こりうる現象であると警告。

またこの事例は、環境汚染だけでなくテキサス北部に位置する魚粉工場に多額の損失をもたらしたことであろうと、経済的損害も指摘しています。

公園当局は、魚の死骸によるバクテリアの大量発生や魚のヒレによる危険を考慮し、清掃が完了するまでビーチを閉鎖していました。

公園当局のFacebookアップデートによると、テキサス州公園野生生物局の殺処分・流出チームからの公式発表で、化学物質が放流された形跡はなく、採取された海水サンプルから溶存酸素低下による大量死だったと報告しています。

テキサスには大手化学工場や石油掘削施設があり、2010年に大規模の原油流出事故で住民への補償や環境復興に約400億ドル(約3兆2800億円)もの資金を投じた背景もあり、汚染に関する調査には神経をとがらせている土地柄であることが伺えます。

この2日後、ようやく魚の死骸の除去が完了しビーチが元通りの様子に戻ったことを知らせる写真がアップ。

このあたりは、釣りはもとよりウィンドサーフィンなども楽しめる遠浅の場所も多く、週末や祝日には多くの地元民で賑わいを見せます。

当局のFacebookには、魚の除去に尽力した職員へのねぎらいと、美しくなったビーチで余暇を楽しめる喜びの声が多く寄せられていました。

Text by 本間才子