昨年の異常現象、「人為的な気候変動の結果」と国連機関トップがコメント 今後の適応策は?
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会が25日、横浜市で開幕した。各国から約500人の研究者らが参加し、地球温暖化の影響や適応策についての報告書を31日に公表する。
【深刻なリスクは「世界的な食糧危機」】
気候変動による最も深刻なリスクとして、フィリピン気候変動委員会の委員は「世界的な食糧危機」を挙げている。
同氏はガーディアン紙への寄稿で、昨年11月にフィリピン中部を襲った超大型台風ハイエンによる、農業部門の総損失は10億ドルに達すると言及。しかし問題はここからで、気候変動によって「2050年までに5000万人以上(スペインの人口に相当)が飢饉のリスクに直面する」と指摘している。
また、途上国に対し年間約1000億ドルの緊急支援が必要であり、それは世界で最も裕福な100人の財産のたった5%だと訴えた。
【昨年の異常現象は人為的な気候変動の結果】
国連の専門機関である世界気象機関(WMO)は、観測記録上、2013年は2007年と並び、世界平均気温が過去6番目の高さだったと発表した。
昨年は世界で熱波、寒波、嵐、洪水、干ばつがすべて起きた典型的な年だという。2013年の異常現象の多くは、「人為的な気候変動の結果」とのWMOのミシェルジャロー事務局長の見解を、英インディペンデント紙は掲載した。同氏はさらに、「世界温暖化はとまらない。温室効果ガスによる過剰なエネルギーの90%以上が海に蓄積されている」と述べたという。
同紙はまた、「私たちが温室効果ガスを排出し続ければ、気候変動の重要な原動力となることは明らか」という、インペリアル・カレッジ・ロンドンのグランサム気候変動研究所のブライアン・ホスキンス教授の見解も掲載している。
【ドイツとアフリカの共同計画】
ドイツの放送機関『ドイチェ・ヴェレ』によると、教育と研究においてアフリカとの協力を強化するというドイツの施策の一環で、両国から約400人の専門家が集まり、将来のアフリカ戦略を検討しているという。
両国は気候変動についても共同で研究を進めており、2009年に始まった試験計画では、ドイツ連邦環境省が1億ユーロを提供し、アフリカ西部と南部にそれぞれ国際研究センターを設立しているという。
『ドイチェ・ヴェレ』は、「気候変動は国境がない」という、アフリカ南部ナミビアの国際研究センターのアンナ・シウェダ副所長の見解を報じている。
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