誰が本当の国民の一員なのか ナショナル・アイデンティティの決定要因とは

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誰が本当の国民の一員なのか ナショナル・アイデンティティの決定要因とは

 世界中で移民・難民問題がクローズアップされているが、「誰が本当の国民の一員なのか」を人々はどのように判断しているのだろうか。ワシントンD.C.を拠点とする米国のシンクタンク、Pew Research Centerの発表したレポート「What It Takes to Truly Be ‘One of Us’」にそれを考えるヒントがある。このレポートでは、米国、カナダ、ヨーロッパ諸国、日本、オーストラリアの14カ国で、ナショナル・アイデンティティを決める上での重要な要素を調査している。

 各国で最も重要度が高い要素は「母国語を話すことができる」ことであった。なお、要素の重要度は「非常に重要である」と回答した割合によって判定しており、日本は70%、米国も70%、カナダが59%*、オーストラリアが69%、ヨーロッパ中央値が77%という結果であった。
*カナダの母国語は、英語かフランス語として調査されている

 一方で、「その国で生まれていること」というのは相対的に重要度が低いようだ。日本は50%、米国が32%、カナダが21%、オーストラリアが13%、ヨーロッパ中央値が33%という結果だ。日本は、生まれた場所という要素を他国に比べて重視している傾向が見えるが、それでも「母国語を話すことができる」という要素より重要度は低い。

 また、生まれた場所という要素は年齢層が高くなるほど重要になるようで、日本では50歳以上は59%であるのに対して、35〜49歳は45%、18〜24歳は29%が非常に重要だと回答している。日本以外の国でも程度の違いはあるが、同様の傾向が表れている。グローバルで人的移動が活発な時代に生まれた若い層ほど、生まれた場所は出産の時に偶然いた場所と捉えているのだろう。

 幼少期の大半を海外で過ごした帰国子女が、自身のナショナリティについて悩むという話をよく聞くが、往々にして自身の日本語に自信を持っていなかった人が多かったように思い出される。帰国子女の不安定なナショナル・アイデンティティは、多くの人が母国語で違和感なく通じ合えることにナショナル・アイデンティティを求めていることの一つの現れなのかもしれない。

photo via Wikipedia Commons | NCSU16

(酒田 宗一)

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