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英EU離脱に見えるシルバー民主主義 反対派多数の若者の声が反映されない可能性

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英EU離脱に見えるシルバー民主主義 反対派多数の若者の声が反映されない可能性

 イギリスのEU離脱を問う国民投票が、6月23日に実施される。最近の世論調査では離脱派が残留派を上回っているが、世代別にみれば、若者は残留を支持しており、上の世代とは大きなギャップが見られる。離脱が現実となれば、最も影響を受けるのは若い世代なのだが、未来を決めるのは高齢者ではないかという意見も聞かれる。

◆若者は残留支持でも、投票に結びつかない
 英ガーディアン紙と世論調査会社ICMによる最新の調査で、離脱を支持する人は53%、残留は47%となり、他の調査同様、離脱が優勢という結果になった。しかし、世代別で見れば、18-34才では残留56%、離脱39%なのに対し、65才以上では残留39%、離脱55%となっており、世代間で違いが見られる。

 残留派にとっては若者の支持は朗報だが、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、歴史的に見ても、若者は投票に行かない傾向が強いと述べ、特に今回は、残留を望む若者の投票を動機付けるものがないと指摘する。残留に投票するということは、変化を求めるということではなく現状を維持するということであり、もう一つ情熱的になれないというのだ。

 さらに投票システムにも問題があるようだ。投票は登録制となっており、申請に必要な情報の不備などが原因で、多くの若者が登録を断念してしまったと米公共ラジオネットワーク「NPR」は説明する。加えて、投票日の23日は、コールドプレイ、ミューズ、アデルが登場し、18万人の観客を集めるグラストンベリー・ミュージック・フェスティバルや、30万人から50万人のイギリス人が集まるとされるサッカーの欧州選手権と重なる。当日投票できない場合は郵送または代理人による投票となり、手続きが面倒なことから、登録を済ませていても、投票所に足を運ばない若者が増える可能性もあるとNYTは見ている。

◆冷めた若者、熱い老人
 ミレニアル世代(1980年から2000年代初頭に生まれた人々)の女性向けサイトの編集者、ビッキー・スプラット氏は、英誌「Spectator」に意見を寄せ、若者はEU離脱を問う国民投票に興味はないと言い切る。

 同氏は、離脱議論は、借金なく大学を卒業し、家庭と家を持ち、年金ももらえる、特定の階級に属した年長世代が支配しており、今の20代の現実など全く考慮されていないと述べる。自分達の世代は家賃の支払いで精一杯で持ち家などは幻想であり、日々生活するのに懸命でEU離脱議論などしている暇はない、と主張する。離脱とは、リスクを犯して未来へのギャンブルに出られるほど安定した人々の考えで、そんな贅沢をする余裕は若者にはないと述べる。

 ニュースサイト『Globalist』に意見を寄せた、イギリスの元国会議員、デニス・マクシェーン氏も、Brexitには世代間の隔たりがあり、議論は老人を中心に行われていると述べる。77才のジョン・メジャー元首相、84才のナイジェル・ローソン元財務相を筆頭に、60代以上が声を上げる。キャメロン首相、独立党のナイジェル・ファラージ党首、ボリス・ジョンソン元ロンドン市長でさえ50代、労働党のジェレミー・コービン党首に至ってはもう67歳で、今のイギリスの政治は、年配者の年配者による年配者のための政治になっているとマクシェーン氏は批判する。

 同氏は、年配の有権者は離脱に投票するだろうと述べ、離脱派の票は、おそらく若いイギリス人のEU市民権を取り上げ、EU域内をビザなしで自由に移動し、働き、生活し、老後を送る権利も取り上げてしまい、世代間の怒りをもたらすだろうと述べている。

◆不確実な未来。ツケは若者へ
 前出のスプラット氏はまた、欧州懐疑主義でも欧州嫌いでもなく、欧州の一部として育った自分たちの世代には、なぜ今EU離脱が議論されるのか理解できないと述べる。そしてEUを離れればどうなるかは誰も分からないとしながらも、今EUを離れることは多くの若者にとって多大な不確実性を抱えることだと述べる。イギリス自体がどうなるのかということに加え、学生ローンは払いきれるのか、家は買えるのか、年金はもらえるのか、子供は持てるのかなど、今の若者には自身の未来における不確実さも付きまとうと説明している。

 時代は変わったのに、古い政治家はそのことに気が付いていないという同氏は、離脱が決まるなら、それは若者ではなく、年金と家を確保した年配者が投票した結果だと述べる。そしてそのツケのほとんどを払わされるのは自分達の世代だとしている。

(山川真智子)

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