オバマ夫人の来日、真の目的は日本を安心させるため? 中国とのバランスと米紙指摘

 米政府は2日、ミシェル・オバマ大統領夫人が3月18日から22日にかけて日本を訪問すると発表した。日本の後にはカンボジアを訪れる予定だ。米大統領夫人が、なぜ今、日本を訪問するのか。米紙などが理由を推測し伝えている。

◆プロモーションの一環として
 ワシントン・ポスト紙とウェブ外交誌『ディプロマット』は、最近、大統領夫妻が積極的な関与を決心した「Let Girl Learn(少女たちに勉強の機会を)」というプロモーションに関係している、と報じている。バラク・オバマ大統領は3日、世界中で、学校に通うべき6200百万人の少女が、勉強の機会を与えられていない、と数字を挙げた。このプロモーションは、これまで米国際開発庁(USAID)、ミレニアムチャレンジ公社(MCC)、平和部隊(アメリカから発展途上国にボランティアを派遣する組織)などが進めていたもので、今後、特にミシェル夫人が積極的に関わることになったということだ。

 ミシェル夫人は3日、日本訪問では、安倍晋三首相の妻、安倍昭恵夫人に会って話をするつもりだと述べた。「Let Girl Learn」に関して「彼女とは情熱を共有していて、熱望するパートナーだ」(ディプロマット誌)と関係をアピールした。また、キャロライン・ケネディ在日米大使にも会う予定だ。プロモーションを進める平和部隊を設立したのは大使の父、故ジョン・ケネディー元大統領だという。

 ワシントン・ポスト紙では、国家安全保障会議(NSC)のゲイル・スミス上級部長が、女子教育普及の意味について「国の防衛のためにも、とても重要な事だ」と説明している。少女たちが教育を受けるということは、莫大な経済的効果を生み、国の安定に良い影響がある。将来有望な指導者の人材資源を拡大することにもなる、としている。また、ディプロマット誌も、根本的により安定した、民主主義国家を建設することを助ける、とみている。オバマ大統領は、「単に人権の問題ではない。政治的で防衛にも関係することだ。そのため対外政策の優先事項として重要なのだ」(ディプロマット誌)と述べた。

◆日本のご機嫌伺いのため
 一方、クリスチャン・サイエンス・モニター紙(CSM)は、全く違う見方だ。米政府は、プロモーションを訪問の理由に挙げているが、真の目的は日本国民との和解だという。同紙は、2014年に重ねて示された日本軽視によって関係が思わしくないからだ、と以下の2つの意見を挙げた。

 ひとつは、同年、バラク・オバマ大統領が日本を訪問した時のことだ。大統領は、大いに歓迎されたが、ミシェル夫人同伴でなかったことは、日本人をがっかりさせた、との報道があった。当時、同紙のハワード・ラフランキ記者は、「ミシェル夫人の不在は日本を半狂乱にした」と報じ、「大統領夫人が訪問しなかったことは、日本がアメリカの同盟国としての最重要な国という立ち位置から降格した悲しいサインだ」との見方を示した。

 さらに、日本の威信を傷つけたのは、大統領の日本訪問の前月に、夫人が娘と休暇を過ごすため、中国を訪問していたことだという。

 CSMは、今回の日本訪問がすべて計画どおりに運べば、ミシェル夫人は勝利を収めたということになるだろうとし、日本国民の感情を和らげ、国際社会での日本の立場が再び保証されたということになるためだ、と報じた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、2013年2月に安倍晋三首相がワシントンを訪問した際もミシェル夫人は不在だった、と報じている。そのため昭恵夫人を同伴することができなかった。

Text by NewSphere 編集部