日豪韓導入の「F35」戦闘機、整備拠点は日豪に 韓国は日本整備拒否との予想も
アメリカ国防総省が、太平洋地域におけるF35戦闘機の修理整備作業を日本とオーストラリアが行うことを発表。巨額の経済効果が見込まれる整備事業だが、整備施設の建設自体は担当国が負担する。
広大な太平洋をカバーするために2つの拠点が必要だったということだが、日本が選ばれたのは、最終組み立て・検査(FACO)施設への投資を行ったのも大きな要因だったようだ。ただし、韓国が自身のF35戦闘機の整備を日本に任すのか、といった疑問をロイターが投げかけている。
◆整備施設建設費用は日本が負担
F35戦闘機開発プログラムのトップである、クリストファー・ボグダン米空軍中将によれば、F35戦闘機の機体の整備・修理拠点を、北部太平洋では日本が、南部太平洋ではオーストラリアが担当する予定だ。両国は施設を2018年までに整える。
エンジンの整備施設は、2018年初頭までにまずオーストラリアで整備され、日本はその3-5年後になる見通しだ。
アメリカ国防総省のサイトは、太平洋地域の整備施設が2ヶ所となったのは「北太平洋の機体が新たな脅威に対処するために迅速なアップグレードを必要としているのに、オーストラリアまで7000マイル移動させる、もしくはその逆をするのは、作戦上に大きな影響がある」ためと伝えているが、アメリカの国防技術専門紙であるディフェンス・ニューズは、「日本は最終組み立て・検査(FACO)施設建設へ投資しており、整備施設を一から建設するより少ない費用で、FACOを整備施設への転用できるのは、大きな要因となっている」というボグダン中将の言葉も伝えている。
日本のFACO施設は三菱重工が建設を予定しており、IHIもF35戦闘機のエンジンを手がけている(ロイター)。
◆韓国のF35戦闘機の整備はオーストラリアで?
F35戦闘機の購入は、太平洋地域ではオーストラリアが100機、日本が42機、韓国が40機を予定しているが、北部太平洋地域のF35戦闘機の修理・整備は日本が担当することになる。
しかし、ロイターは韓国が日本での整備を拒否するのではないか、という見方を示している。
「韓国のF35戦闘機は日本で整備されるのか」という質問にボグダン中将がコメントを控えたことを引用した後、開発プログラム関係筋の情報として、韓国は第二次大戦後、軍装備を日本で整備させたことは一度もないので、韓国政府はおそらくオーストラリアかアメリカに送るのではないかとの見方を伝えた。
◆整備で3500万ドルの効果が見込まれる
また、ディフェンス・ニューズ紙は、整備事業により大きな経済効果が得られることを示唆している。
同じように、ヨーロッパでのF35戦闘機の整備・修理事業が進められているイタリアでの試算だが、2018年から2022年の間で45-50機の機体の整備作業がイタリアでの施設で見込まれており、おそらく15万時間の作業で、3000万ドル-3500万ドルの経済効果があると見られている(ディフェンス・ニューズ)。
ロイターも、F35戦闘機開発プログラム局は2-3年ごとに修理の割り当てを見直し、数十億ドルの利益を他の国も享受できるようにするとのボグダン中将の言葉を伝えた。