ソニーPS動画広告、セクシー女医登場で“性差別的”と海外批判 “ゲーマーをバカにしてる”

 ソニーが21日にヨーロッパのYouTubeチャンネルで公開した動画広告が物議を醸している。性差別的だとの批判を受け、ソニーは広告を削除するに至った。海外メディアはその問題点を指摘している。

◆広告は性差別的
 問題の広告では、セクシーな女医が色気たっぷりに、「今日はもうしたんでしょう?最近ちょっとし過ぎたと思ってるんじゃない」と話しかけてくる。性的な話題をほのめかしているのかと思わせて、実はゲームの楽しさを宣伝している、というものだ。

 『ビジネス・インサイダー』は「露骨な性差別」、『Jezebel』は「愚かなほど性差別的」、ハフィントンポストは「恥ずかしくなるほど性差別的」と評している。また『The Verge』は「楽しいはずのゲーム体験を下品なものにした」と評するなど、海外メディアはこぞって批判している。

 『The Verge』に寄稿したKwame Opam氏は広告に対し、「どんな状況でプレイしていたにしても、この女医はゲーマーである前にまずセクシーな女性であって、対象となっているターゲットは明白。セクシーであることは問題ないが、セクシーさには男性にとって固定観念がついてまわる」と書いている。ゲームをしているのが、セックス好きなティーンエージャー男性と決めつけていると批判した。“誰でもゲーマー”という宣伝文句でマーケティングしたいのであれば、全てのゲーマーを皆平等に扱うべき、と指摘する。

◆海外ユーザーのコメント
 『Jezebel』にはユーザーからのコメントが寄せられた。
・ゲーマーがオナニー中毒者で、ゲームに没頭するのはオナニーに没頭するのと同じという侮辱だと思う。
・ゲーム広告ではいまだに女性ゲーマーを平等に扱っていない。
・下品。ポルノを見ているような気持ちになる。次にゲーム機を買うときはこの広告を思い出してソニーの商品は買わないかも。
・ゲーマーがみんな性的なほのめかしにしか反応しないセックスできない変態だと思っているに違いない。愚かな広告だと思う。
・ソ二ーはマーケティングが下手。
・フェミニズムへの冒とくだ。

◆騒ぎ立てるほど性差別的か
 一方、フォーブス誌に寄稿したErik Kain氏は、ターゲットが限定されてしまっているという問題点は認めたうえで、他メディアとは異なる見解を論じている。

 性的表現は効果的なため、多くの広告に使われており、他にも性的表現を使った広告はあるのに一方は受け入れられてもう一方は性差別と騒がれるのは不可解だとKain氏は論じる。性的な表現があるというだけで性差別的と非難することはできない。社会的苦痛を大げさに騒ぎ立てるネット文化の影響と、性的なこと全てに対して過剰に反応する社会の哀しい結果が今回の騒ぎの要因だと考える。

 Kain氏は広告ひとつに大騒ぎする以前に、現実社会では性的差別、人種差別が絶えることなく続いており、ユーモアや会話は解決策打開への糸口ではないか、と論じた。また同氏は、「多数派が何にでも怒りの要因を見つけるとき、適切な質問は意味がないだけでなく脅威となる。誰かの怒りに質問を提起することはさらなる怒りにつながりかねない」という、コラムニストのMeghan Daum氏の一文を紹介している。

Text by NewSphere 編集部