日本、メキシコ資源開発で協力へ 投資拡大に現地紙も期待
中南米訪問中の安倍首相は26~27日までメキシコに滞在し、ペニャニエト大統領との首脳会談に臨んだ。メキシコでの石油・シェールガスの開発などでの協力を確認し、エネルギー資源の安定供給を図っている。
首相はこの後、トリニダード•トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジルを訪問する。
【ペーニャ•ニエト大統領の演説 】
ペニャニエト大統領は、首相に同行する経団連メンバーも参加した日本メキシコ経済委員会の席にて、“日本は世界でイノベーションと経済力において最も発展している国のひとつである。メキシコは若い人的資本の豊かな国であり、それがまた大きく伸展している。この2つの国が一緒になれば偉大な力を発揮する”と語ったという。
さらに大統領は、メキシコの信頼性を強調すべく、“日本の自動車メーカーがメキシコで発展し、またそれが13,000人の直接雇用に繋がっている”ことも演説の中に加えていた。
【日本からの投資】
日本とメキシコは、2005年に経済連携協定(EPA)を結んだ。それ以来伸び続ける貿易総額は、約193億ドルに達している。
さらに、メキシコ経済省の統計では、2012年の外国からメキシコへの投資は126億5940万ドルで、その内13.1%が日本からの投資であるという(メキシコのマスター•ファイナンシャル•マネージメント誌)。
また同誌は、日本からの投資として期待される分野は、情報関連のハイテクノロジーと自動車生産の2つの分野であるとしている。またメキシコへの投資の魅力は、地理的に米国に近いということと、生産コストが比較的低いことを上げている。
実際、エル•ウニベルサル紙は、2007-2014年までの日本の自動車メーカーの投資が50億ドルにのぼる、というプロメキシコの理事長フランシスコ•ゴンサレス氏の発言を伝えている。
【メキシコの中南米におけるポジション】
メキシコは世界の45ヶ国と貿易自由協定を結んでいる国である。地理的に北米と隣接しており、中南米諸国とは歴史的にも深い繋がりのある国である。
昨年就任したペニャニエト大統領の政治使命は、特にエネルギーと通信分野における改革である。それが今少しずつ前進している。
メキシコに移住した日本人移民は僅かに2万人である。その数はブラジルに比べ雲泥の差である。現在8400人の在留邦人が生活しているが、最近の日系企業の進出によって急激にその数は増えている。
なお日本からメキシコへの今年の観光者は10万人と予測されている。
また日本の自動車メーカーの投資拡大に伴って下請け企業の進出も盛んで、在メキシコ大使館によると、この2年間に日本から130社の進出があり、メキシコ全国で700社の日系企業が存在している、と公表されている。
メキシコのエル•エコノミスト紙は、安倍首相訪問に因んだ記事のタイトルに「メキシコは日本からの投資に肥沃な土地である」と謳っていた。