中韓除くアジア諸国、日本に「好意的」 一方、中国とは領土めぐる武力衝突を懸念=米機関世論調査
ベトナムなど東南アジア諸国が、日本と安倍晋三首相を高く評価していることが、米調査機関ピュー・リサーチ・センターの世論調査結果で明らかになった。調査は3月から6月にかけ、世界44ヶ国、約4.9万人を対象に行われた。
【中韓以外は安倍首相を評価】
調査対象のアジア10ヶ国中7ヶ国で、日本に対して好意的な回答が過半数を占めた。特にベトナム、フィリピン、タイなどは、7~8割近くが好意的な回答をしている。一方、中国は8%、韓国は22%と、他国に比べて著しく低い。
また、安倍首相の外交手腕に対する評価も、中韓以外では高い。「安倍首相は世界情勢の中で正しいことをしているか」との質問に対し、肯定的な回答の割合は、ベトナム65%、マレーシア57%、バングラデシュ56%、フィリピン55%だった。一方、中国は15%(否定70%)、韓国は5%(否定94%)と非常に低い評価が下されている。
中国は日本そのものへの評価が低く、韓国は安倍首相の姿勢への評価が低い、といえそうだ。
【分かれる評価】
中国に対する世界の評価はどうだろうか。
調査対象の43ヶ国全体では、49%は中国に対して好意的な回答、32%は否定的な回答だった。しかし、その評価は地域によって大きく異なる。欧米諸国や日本(7%)、ベトナム(16%)での評価は低い。一方、アフリカ諸国や南米諸国、パキスタン(78%)は好意的だった。
アメリカでは、中国に対して好意的な回答は35%に減少した(2011年は約半数だった)。東・南シナ海の領有問題をめぐる武力衝突の可能性と、順調な経済成長を遂げる中国に対する焦りが原因では、とニューヨーク・タイムズ紙は指摘している。
なお、中国の経済成長が自国にとって良いことか、という質問には、調査対象国全体で、53%が肯定的な回答をしている(否定的な回答は27%)。
【武力衝突の懸念】
領有権問題をめぐる中国と近隣諸国との武力衝突に対する懸念が、今回の調査結果に表れている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙や豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙は指摘している。
調査対象のアジア11ヶ国全てにおいて、中国と近隣諸国との武力衝突を懸念するとの回答が、懸念しないとの回答を上回った。特に多かったのは、フィリピン(93%)、日本(85%)、ベトナム(84%)、韓国(83%)だった。中国でも62%が懸念している。
アメリカも、中国が威圧的な行動をとっていることにますます警戒を強めている。武力衝突を懸念するアメリカ人は67%に達した(懸念しないは31%)。
【ネガティブな印象の中国の習近平主席】
世界的に高い評価を得ている日本の安倍首相に対し、中国の習近平国家主席は、人権問題を懸念する声から、好印象を受けていないことが本調査で明らかになった。
同センターは習主席に対し、「ポジティブな見方よりネガティブな見方が優勢」と指摘している。ニューヨーク・タイムズ紙も、習主席は、汚職に対する戦いと日本に対する強硬策により、国内では強い信頼が寄せられているが、海外の評判は良くないと報じている。