日豪首脳は“親密”と豪メディア評価 集団的自衛権は支持、捕鯨批判は封印
安倍首相は、6日にニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニア歴訪に出発した。オーストラリアのキャンベラでは、日本の首相としては初の、連邦議会での演説が行われることになっており、その内容に関心が集まっている。
【日豪リーダー蜜月?】
シドニーの日刊紙、『The Australian』 は、安倍首相とオーストラリアのアボット首相が「政治的、地域的、そして個人的にも互いの味方となった」と報じている。
「プライベートで話すときは、二人はほとんど英語で会話。通訳がいても、安倍首相はアボット首相の言うことはすべて理解し、しばしば英語で返答する」と二人の仲の良さを強調し、ここ十数年の間で、「最も親密な個人的関係」を築いていると好意的に紹介された。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙によると、アボット首相のスポークスマンは、安倍首相訪問時に捕鯨問題を取り上げるか否かの質問に対して、回答を拒否している。
【注目の豪議会演説】
安倍首相は今回の訪問で、日豪経済連携協定(EPA)と、防衛装備品分野の協力に関する協定に署名する予定だ。
しかし海外紙が注目するのは、日本の首相として初めて、安倍首相が連邦議会での演説を行うことであり、その中に集団的自衛権行使容認についての説明が盛り込まれると、多くが予想している。
ガーディアン紙は、オーストラリアは日本の歴史的防衛政策の転換に賛成を表明しており、地域の安定における主要な脅威として、中国の東シナ海、南シナ海における攻撃的挑戦や北朝鮮の核開発を引き合いに出せば、日豪両首相が意見を異にすることはほぼないだろうとする。よって、8日の議会演説では、「二人の政治的相乗作用と友情が最も明確になる」と述べている。
ブルームバーグも、「安倍首相の演説は、日豪関係の重要性を語る以上に、より大きな意味を持つだろう」という『The Australian』の編集者のコメントを紹介。演説が、戦略上の観点から、世界的に注目されるだろうことを示唆した。
【ナショナリズムは問題?】
ガーディアン紙は、アメリカに安全保障を頼り、平和の精神を遵守する「自虐的」戦後処理からの脱却を目指す政治家グループの中では、安倍首相は最も表立った人物だと指摘。武器輸出を解禁し、集団的自衛権を認め、国益のために必要ならば軍事力も使う、「普通の」民主主義国家に日本を仲間入りさせるのが、彼の信じるところだと分析している。
しかし、安倍首相の「弁解をしないナショナリズム」が、日中、日韓関係をここ数十年で最悪のものにしているとし、歴史認識の問題でも、そのタカ派的、修正主義的考えを譲ろうとはしないと述べている。
一方ブルームバーグは、日本国内の世論にも言及。集団的自衛権行使容認は、日本国民の大多数から反対されていると述べ、内閣支持率は低下し、国民の中には、軍事力拡大を許すことで、戦争に巻き込まれるという懸念があると報じている。