“米国頼み”の尖閣防衛に米識者が警鐘 中国の不意打ちを危惧
尖閣諸島の領有権争いなど東シナ海をめぐり日中両国の緊張が高まる中、日中が実際の戦争に発展する可能性を海外各紙が独自に検証しているようだ。
【尖閣は戦うに値するか】
ナショナル・インタレスト誌のハリー・J・カジアニス氏は、ローウィ国際政策研究所が発表した「日中有事のシミュレーション」をもとに、日本と中国が戦争となった際アメリカはどうするか、についての分析と見解を表している。
オバマ大統領がアジアに軸を移す政策を進めて以来、アメリカの財と生命が犠牲になる可能性も高まってきている、と同氏は言う。日中有事の際、オバマ大統領は、果たして「ほとんどのアメリカ人にとって地図上のどこにあるかも知らないような奇妙な名前の岩」を守るために、軍事介入などするだろうか?あるいはオバマ大統領が介入を決めたとしても、一般アメリカ人の反応はどうだろうか?ほとんどのアメリカ人がシリアの介入に反対だとしたら、尖閣諸島での戦争に賛成などするだろうか?
その問いに対し同氏は「現在のアジアにおける国際秩序維持は、戦うに値すると強く信じている」と主張している。アメリカの繁栄と国防は、第二次世界大戦後に米政府と同盟国が築いた国際秩序の上に成り立っており、 もしそれが覆されることがあれば、アメリカはより不安定な国際社会の中、自身の安全も危ぶまれる立場に置かれるだろう、との分析を示している。
しかしながら、アジアの同盟国は「アメリカに出来ることにも限界がある」ことを知っておくべき、と同氏は語る。そのような理解なくしては、自身が不意打ちを食らうかもしれない、との指摘をしている。
【自衛隊が捕虜確保の準備】
香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は「東シナ海めぐり中国との緊張が高まる中、日本の自衛隊が捕虜の処遇体制整備に乗り出した」と伝えている。
これは読売新聞が20日「陸海空の3自衛隊が、敵国の捕虜の受け入れを互いに連携して備えるよう態勢を整えている」と報じたことが情報の発端となっている。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙はこのことについて「日本の自衛隊が日本から離れた海上や離島で敵国の軍人を捕える可能性があると受け取れるだろう」との見解を示している。
しかし同紙がシンガポール国立大学の中野涼子助教授に意見を求めたところ、「国際法に基づいた捕虜の処遇態勢を整える訓練であり、それを始めたからといって日本が戦争に備えているということではない」との回答が得られたとも伝えている。
【神戸が標的に?!】
台湾の『Want China Times』は、日本の週刊現代が18日発売誌に記載した「もし日本と中国が戦争になったら、まず神戸が人民解放軍の攻撃対象となる」という記事を伝えている。
軍事評論家の世良光弘氏によると、神戸には潜水艦の大手メーカーである三菱重工と川崎重工があるからとのことである。潜水艦は制海権のカギを握っており、もし人民解放軍が潜水艦の工場を襲えば日本は大きなダメージを受けるという。同誌によると、ある海上自衛隊の幹部も「もし、私が中国人民解放軍の軍人ならば、まず神戸を攻撃の対象とする」と語っているらしい。
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