中国、日本のプルトニウム申告漏れを批判 「反日プロパガンダ」と海外専門家も呆れ顔
日本が国際原子力機関(IAEA)へ報告したプルトニウム保有量に申告漏れがあったという共同通信の報道を受け、中国が日本へ非難の声明を発表した。これについて海外各紙が見解を述べている。
【原発稼働停止で未使用燃料が蓄積】
「申告漏れ」と報じられているのは、佐賀県の九州電力玄海原子力発電所にあるMOX(混合酸化物)燃料に含まれる640kgのプルトニウムのことだという。これは、2011年の福島第一原発の事故後各地の原発が稼働停止となったことから、その後2年間未使用のままとなっていたものだという。
日本政府は2012年および2013年のIAEA申告の際、この玄海原発にある640kgを除外して報告していたとのことである。日本の原子力委員会事務局によると「原子炉の中にある燃料は使用中と見なし、IAEA申告の対象外」との認識であったという。共同通信によると、日本は保有量を44tと申告しているが、これを含むと実際は45tだという。
この報道を受け、中国外交部の華春瑩報道官は9日会見を開き「申告漏れなのか、それとも故意の虚偽報告だったのか日本は説明する義務がある」と声明し、「正しい保有量の申告と、その使用目的について明確にすることは、日本およびIAEA両方の責任だ」と述べたと新華社通信は報じている。
【日本の核燃料保有は危険なのか】
中国が日本の申告漏れに対し非難の声明を発表したことはニューヨーク・タイムズでも報じられている。
同紙は華報道官が「日本の核燃料保有は国際社会の深刻な懸念」と発言したことに触れ、中国は日本の核燃料保有について「いつか核兵器を作るのではないか」という懸念を長年抱いている、と報じている。
同紙によると、華報道官は「もしも日本が非核三原則を守るならば、必要以上の核燃料を保有しているのはいったいどういうことなのか」と発言しているという。日本は3月、300kgのプルトニウムの返還に合意したが、いまでも核兵器を保有しない国では最大の量を保有していると同紙は報じている。
【中国の懸念はおかしいと米誌の指摘】
専門家のジェームス・コンカ氏は「中国が日本のプルトニウムをやたら懸念するのはおかしな話」という見解をフォーブス誌に寄稿している。
MOX燃料とは、再生処理された使用済みプルトニウムおよびウランの混合物である。コンカ氏によると、プルトニウムをMOX燃料として混合することは、むしろ兵器転用の可能性を下げることで、核兵器が欲しいのであれば、兵器生成のための施設を作った方が早いという。
おかしいのは、中国自身もそのことは知っているのに、どの中国メディアもそのことを伝えない。そのかわり、反日感情を人工的に作り上げることに使っている、と同氏は指摘する。
「中国は日本が”尖閣諸島や白樺ガス田を守るために核兵器を欲している”とでも考えているのかもしれないが、日本はただ単に核燃料のリサイクルを進めたいだけだ。日本が原発を再開すればこの燃料は必要になるし、かつそうすべき。さもなくば日本はガス油田をめぐって本当に中国と戦争になるかもしれない」と同氏は説いている。