中国、日本との衝突も辞さない? 習近平の矛盾した外交政策を米識者が分析
防衛省によると、11日、中国の戦闘機が、東シナ海の公海上空で、自衛隊の偵察機から30メートルの距離まで異常接近した。日本政府は中国に対して厳重に抗議した。
しかし中国国防省は12日、事実関係を否定し、「国際社会をだまし、わが国の軍のイメージを損ない、地域の緊張を作り出すものだ」と日本を強く批判。これとは別に、逆に中国軍機が自衛隊機に接近されたとする映像も公開した。なおこの映像は、「自衛隊機は一定の距離を取って安定した飛行をしている」(小野寺防衛相)ものだった。
日中の軍事的衝突の危険性が高まっているとして、海外メディアが両国関係を分析している。
【習近平の二面性】
ニューヨーク・タイムズ紙の中国関連ニュースブログ『Sinosphere』は、戦略国際問題研究所(CSIS)のクリストファー・ジョンソン氏らによるレポートを紹介している。
多くの専門家は、中国の外交政策は、穏健派と強硬派の板挟みの結果だと考えてきた。一方レポートは、習近平主席の出世の早さからして、政権内部からの抵抗は深刻な脅威でない、と見る。むしろ、外交政策の矛盾は、習氏が「自分の世界観を完全には詰め切れていない」ためではないか、と分析している。
3月27日、習氏は中仏外交50周年の記念式典で、ナポレオンが中国を「眠れる獅子」と呼んだことを引き合いに出し、「獅子は目を覚ましたが、平和的で上品で、礼儀正しい」と述べた。発言からは、強国意識だけではなく、国際社会で認められることへの意識も垣間見える。
記事は習主席について、「良い隣人」の顔と、「中国の力を誇示する」姿勢の両面を持つ、と報じている。
【日中の内政問題】
一方、ウェブ誌『ディプロマット』は、日中間の争いは次から次へと起きる、として、次のように述べる。
第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)をめぐる議論が落ち着いたと思ったら、歴史的論争や軍事対立が表面化した。日中は、指導者が国際フォーラムに出席するたびに敵対的となるようだ。
現状が続けば、異常接近のような危険な事態が増え、もっと大きな紛争が起こるかも知れない。軍備を増強している両国にとって、もはやミスはほとんど許容できなくなってきている。
あからさまな軍事衝突はまだだろうが、長期的に紛争の見込みを減らすような手を両国ともいまだに講じようとしない、と同誌は懸念を示している。
「尖閣問題」とは何か (岩波現代文庫) [amazon]