日本の“世界最高”の潜水艦技術、豪へ供与か 「中国を刺激する恐れがある」海外メディア指摘
日本とオーストラリアの間で、日本の潜水艦技術をめぐり協議が進められている。両国は6月に東京で外務・防衛担当閣僚級協議を開催、7月には安倍晋三首相がオーストラリアを訪問し、アボット首相と会談する。防衛装備品の共同開発に必要な、日豪政府間協定の年内締結が見込まれている。
【日本の潜水艦は世界最高】
ディーゼルエンジンが推進力の「コリンズ型」潜水艦6隻を配備するオーストラリアは、2030年代初めまでに代替を計画している。
比較的安いアメリカ製原子力潜水艦の購入を支持する声もあるが、オーストラリアでは、原子力が政治的タブーであり、国内に原発産業もない、と『Eurasia Review』はその可能性を否定している。
一方、オーストラリア製である現行の「コリンズ型」は、信頼性に多くの問題があった、と同紙は指摘している。改良版「コリンズ型」を建造するため、ドイツのTKMやスウェーデンのSaabが候補に挙げられたが、両者とも大型潜水艦の設計経験がないことが懸念された。
そこでオーストラリアが目を付けたのは、川崎重工業と三菱重工業が手掛ける、日本の「そうりゅう型」である。ディーゼルエンジンであり、4000トンクラスという条件に合致する。デビット・ジョンソン豪国防相は、「そうりゅう型」は「世界最高」と評している、と『オーストラリアン』は報道している。
【日本の武器輸出緩和と中国の脅威】
過去50年以上、武器輸出を禁じられ、自国防衛に注力してきた日本の軍事概要は、海外ではほとんど知られていなかった。とはいえ、総勢24万人を擁する自衛隊は無力ではない。航空母艦3隻、40隻以上の駆逐艦、300機の第一線戦闘機、また弾道ミサイルを撃ち落とす能力もある、と『The Week』は報道している。
東アジアにおける中国の脅威が増すにつれ、日本は防衛中心だった国防活動を見直し始めている。中国の軍事予算は1989年から10倍の増加を見せ、今や日本の4倍である、と同紙は指摘している。日本の国防活動見直しの一環として、武器輸出制限が緩和された。
とはいえ、いきなり潜水艦という武器性の高い装備品を他国に輸出することには、国内反発が予想される、とロイターは指摘している。また、機密性の高い潜水艦の技術を提供することには、自衛隊の中で慎重論もある、と同紙は報じる。日本自身が潜水艦の増強を進めているため、オーストラリアに協力できる技術者の不足も懸念される。
さらに、オーストラリアは、経済的な結びつきが強い中国との関係を考慮に入れなければならない。「潜水艦のような機微な技術で日本と組むと、日豪同盟への布石だと中国から警戒されるリスクがある」とロイターは結んでいる。