エナジードリンクとアルコールの組み合わせは危険? アメリカの調査が明らかにした悪影響とは
日本でも近年、愛好者の増えているエナジードリンク。カフェインなどが含まれており、高揚感やリフレッシュ感が得られることを期待して飲む人が多いようだ。このエナジードリンクについて、興味深い事実が明らかになった。アメリカで行われた調査によると、ティーンエージャーの場合、エナジードリンクを飲む人は、飲まない人に比べて、不活発な生活パターンをしている傾向があるというのだ。
【エナジードリンクが影響する可能性についての調査】
この調査は、エナジードリンクとスポーツドリンクの摂取が、青少年の健康状態と全般的な行動に、どのように影響する可能性があるかを調べるものだった。対象となったのは、ミネアポリス市の中学校・高校20校の生徒2793人で、平均年齢は14.4歳だった。ミネソタ大学とデューク大学の合同研究チームによって実施され、今月5日に調査結果が発表された。
調査結果のうち、米ニュースサイト『デイリー・ビースト』が着目したのは、エナジードリンクを飲むティーンエージャーは、画面にくぎ付けになっている時間がより長い、という点だ。男子では、エナジードリンクを週1回以上飲む場合、飲む回数が1回未満の集団に比べて、週当たりおよそ4時間、ゲームをする時間が長かったという。
ニュースサイト『ヘッドライン&グローバルニュース』によると、しょっちゅうスポーツドリンクやエナジードリンクを飲む人は、ソーシャルネットワークの利用頻度も高かったという。また、喫煙や、他の加糖飲料を摂取する傾向も強かった。
【相関性はあっても、因果関係を示すものではない】
これらの調査結果には、留意すべき点があると、米国飲料協会の広報担当者は『デイリー・ビースト』に語っている。それは、「この調査は、相関だけを考慮しており、エナジードリンクやスポーツドリンクの摂取が“悪影響”をもたらす原因であるとは、まったく示していない」という点だ。
たとえば、もともと不活発な傾向を持つ人が、自分に活を入れたいと思って、エナジードリンクを飲んでいるのかもしれない。あるいは、眠気を抑えてゲームをプレイしたいから、エナジードリンクを飲んでいるのかもしれない。
また、エナジードリンクの成分は、国ごとに異なる場合もあるため、この結果がそのまま日本にも当てはまるかどうかは不明だ。
【エナジードリンクの健康への影響の調査は、これまでにも】
エナジードリンクの健康への影響については、これまでもさまざまな調査が行われてきた。
ミシガン州立ウェイン大学が指揮した2007年の調査では、エナジードリンクの摂取によって、心臓病と高血圧のリスクが高まることが示された。タウリンとカフェインを多量に含んでいるためだ(日本で販売されているエナジードリンクは、タウリンを含まない)。ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らはここ数年、エナジードリンクに警告表示を付けるよう主張している、と『デイリー・ビースト』は伝えている。
【エナジードリンクとアルコール飲料の同時摂取は危険?】
また、ミシガン大学とペンシルベニア州立大学の合同チームが、昨年発表した研究では、エナジードリンクとアルコール飲料を混ぜて飲んだ場合、あるいは同じ日に別々に飲んだだけでも、健康に悪影響をもたらす可能性があるという。『ニューヨーク・デイリー・ニュース』が報じた。
この研究は、ペンシルベニア州立大学の学生の生活調査を基にしたものだ。744人の学生が在学中、毎日、ウェブでの調査に回答した。前日に飲んだアルコール飲料の量、何時に飲み始め、何時に飲み終えたか、エナジードリンクは飲んだか、などが質問された。
調査結果によると、エナジードリンクをより多く飲む学生は、飲酒量も多かった。そして飲酒に費やす時間がより長い傾向があった。さらに、アルコール飲料とエナジードリンクを混ぜて飲んだ場合、アルコール飲料だけを飲んだ日と比較して、飲酒量が増えていた。
【カフェインの興奮作用と、アルコールの鎮静作用の複合効果?】
研究チームによると、エナジードリンクとアルコール飲料をいっしょに飲むと、カフェインの興奮作用と、アルコールの鎮静作用を同時に受けることになるため、実際には相当酔っていても、それほど酔っていないように感じる可能性があるのだという。
「エナジードリンクとアルコール飲料を混ぜて飲んだり、同じ日に飲んだだけでも、飲酒の悪影響がより深刻となる可能性があることを、消費者が認識することが重要です」と、研究チームは警告している。
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