中国紙、ベトナムに“教訓を与えるべき”と強硬姿勢 中越戦争時の言葉に酷似と海外紙指摘
南シナ海での石油掘削を巡って7日に衝突した中国とベトナムの艦船は、依然にらみ合ったままと報じられている。両国間では緊張が高まっている。
今後の行方について、海外メディアは様々な見方を報じている。
【対決の瞬間がやって来たとの見方】
タイム誌の取材に対して、香港城市大学のジョナサン・ロンドン教授は、歴史的な「対決の瞬間がやって来た」と述べ、「中国は主張を実行に移すために具体策を取る段階に移った」と見る。
同誌は、人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙が6日、「ベトナムに対して、ふさわしい教訓を与えるべきだ」という強い語調の論説を掲載したことを紹介。これはかつての中国最高指導者・鄧小平氏が1979年、中国人民解放軍による悲惨なベトナム侵攻に先立って語った言葉に似ている、と述べている。
同紙の7日の論説では、「中国は南シナ海の戦局において、アメリカに立ち向かう上でこれまでにない自信を抱いている」と述べられているという。
【中国は周辺国とアメリカの出方を探っているとの見方】
これに対して、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、ウォール紙)は、中国は領有権を主張する海域の防衛を大幅に強化することで、周辺国とアメリカの出方を探ろうとしていると見る。
ウォール紙によれば、オバマ大統領は4月のアジア歴訪で、同盟国である日本やフィリピンを安心させることに力を入れた。だが、かつての敵でありながら、中国の台頭への懸念から安保、外交関係を強化してきたベトナムへの訪問は今回の旅程には入っていなかった。
8日にハノイを訪問したアメリカ国務省のラッセル次官補(東アジア・太平洋担当)は、アメリカは「いかなる危険性をも非常に懸念している」と述べた。領有権紛争の当事国に自制を求め、南シナ海についてアメリカはいずれの側にもつかないと述べたという。
【戦争は予想できないとの見方】
一方でタイム誌は、ベトナム共産党指導者には自国内の国家主義者の怒りを鎮めるに十分な強い主張を行いつつ、最大の貿易相手国である中国と対峙するというデリケートな仕事が求められていると述べる。
ニューヨ-ク・タイムズ紙によると、8日、ベトナムの株式相場は中国との衝突の影響で急落。指標であるVN指数は前日比5.9%安と13年ぶりの大きな下げを記録した。
同紙は、ロヨラ大学のデニス・マコーマック教授の言葉を紹介している。
「中国の強引な態度は、部分的には自国内に向けられたものであり、中国の指導者はベトナムとの戦争に興味はない。両国は経済的な利害関係で互いに結び付いており、戦争は予想できない」