“北朝鮮崩壊シナリオ”、中国軍が日本にリークか ねらいと内容に海外紙も注目

 北朝鮮の最大の支援国である中国で、北朝鮮体制崩壊時のシナリオを準備していることがわかった。4日、共同通信が報じた。タイム誌やガーディアン紙は、中国人民解放軍の日本へのリークだとして、大きく報じている。

【崩壊シナリオの内容と、リークのねらいとは】
 報道によると、暴露された中国軍内部の文書には、外国勢力(軍隊)が北朝鮮政権を失脚させるシナリオなどが想定されているという。北朝鮮崩壊時の対応にも言及されている。中国になだれ込む数百万人の難民に対するキャンプ設営や、指導者拘束などが記されているという。

 この記事に対し、英リーズ大学教授(中国史)のアダム・キャスカート氏は、深読みしすぎることを警告(タイム誌)。中国の北朝鮮に対する牽制、という見方はできるものの、中国が北朝鮮を見捨てた、とまではいえないだろう。なお2010年にも、ウィキリークスが暴露した米国の機密公電で、中国高官が北朝鮮の崩壊に言及していたことが明らかになっていた。

 共同通信は、中国人民解放軍内でも、北朝鮮の政変に備えた危機管理が本格化していることを示す、とみている。

【中国、北朝鮮の4回目の核実験をけん制か】
 北朝鮮は、4回目の核実験を行う準備を、今年4月上旬から進めていると報じられている。これは中国にとって「悪夢」だとウォール・ストリートジャーナル紙は報じる。日本と韓国が、米国とは独立した核抑止力の検討に近づくかもしれないためだ。

 ウェブ誌『ディプロマット』も、北朝鮮の核実験やミサイル開発は、日本の武器輸出原則見直しや、集団的自衛権見直しに一役買っている、と報じる。

 中国は北朝鮮の崩壊を恐れ、食料・石油をはじめとした経済支援をやめられない。北朝鮮はこれを見越し、国際社会の制裁や非難を無視し、核実験に向かうとみられている。ウォール紙は、金正恩氏が「父親より向こう見ずで、冷酷で、危険だ」という元韓国高官のコメントを紹介している。

【日本に歩み寄る北朝鮮の狙いは「中国をけん制」?】
 一方日本は、昨年5月の飯島勲氏(内閣官房参与)の電撃訪朝を皮切りに、北朝鮮との関係に変化がみられる。『ディプロマット』は、日朝の「失われた10年」が終わり、国交正常化に近づく可能性にも言及している。

 同誌は、北朝鮮の思惑を、日本の制裁を解除させ、支援を引き出すことと予想している。

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Text by NewSphere 編集部