オバマのアジア歴訪、中国への配慮に海外注目 中国メディアも自国の影響力拡大を強調
23日に日本から始まったオバマ大統領のアジア歴訪は、29日に最後の訪問国フィリピンで幕を閉じた。この総合的な結果について海外各紙が論じている。
【訪問先でなくとも一番の焦点は中国?】
タイム誌は、オバマ大統領のアジア歴訪を、「常に中国の気配がつきまとうものだった」と表現している。オバマ大統領はこの歴訪を「友好国の訪問が目的だ。中国を封じ込めるためではない」と度々主張してきた。しかし、そう言えば言うほど、中国の存在感は高まるばかりだった、と同誌は指摘する。
オバマ大統領は日本、韓国、マレーシア、フィリピンと4ヶ国を訪れ、行く先々で安全保障上の連携強化を強調した。いずれも中国の軍事台頭を脅威に感じている国であり、だからこそ訪問先としてこの4ヶ国が選ばれた、と同誌は分析する。それは中東からアジアへと基軸を移す政策にとって良い機会と見えたのだろう、と同誌は見ている。
【同盟国にとって最悪のシナリオとは】
中国への配慮を常に意識しながら、なお同盟国との軍事連携を強化してまわる旅は容易ではなかったが、とりあえず今のところはうまくいったようだ、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。しかし、本当の危険は、中国の意図をアメリカとその同盟国が読み違えたときに起こる、と同紙は指摘する。
同紙によると、アメリカは「中国の意図は米軍を太平洋地域から追い出すこと」という前提のもと戦略を立て始めているという。しかし、それが絶対正しいとは限らない上に、習近平主席はもっと深い野望を秘めている可能性だってある。例えば、アメリカは北半球の支配権を維持し、かわりに中国はアジアでの環太平洋上での自由な行動を獲得するといった、米中それぞれの最優先事項を分け合う取引をすることだ。
もしそんなことが起きたら、アジアの米同盟国にとっては堪え難いだろう。だからこそ、アメリカは、中国を怒らせるかもしれないリスクを負ってでも、同盟国を安心させるような発言を強調してきた、と同紙は分析する。
【中国は自国の存在感強調】
中国の人民日報は、オバマ大統領の歴訪を「軍事強化という目的は果たしたが、TPPでは結局大した進展もできなかった」と評している。
同紙はさらに、ニューヨーク・タイムズ紙がこの歴訪について「中国を避けつつも無視できず」、「常に訪問国と中国の両方に語りかけていた」と報じていることを伝え、自国の影響力を強調した。
また中国南海研究所の吴士存所長は「アメリカのメッセージには具体性がなく、象徴的なレベルにとどまっている」との見解を同紙に寄せている。
【日米共同声明の背後に】
外交ニュースサイト『ディプロマット』は、今回の訪問で日米が「両国によるASEAN地域での海洋監視支援」への合意したことに注目している。フィリピンとの新しい軍事協定など、短期的な視野では目に見える結果も生んだ今回の歴訪だが、同誌はむしろこの日米合意が今後どういう動きを見せるか、その行く末こそが今回の歴訪がもたらす本当の結果となるだろう、との見方を示している。
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