日本の石油タンカー、海賊被害に ヤクザ・マフィアの影響で、東南アジアだけ活発化と海外報道
23日、マラッカ海峡で日本の石油タンカーが海賊に襲撃され、乗組員3人が連れ去られた。
マレーシア海洋警察によると、シンガポールからミャンマーに向かっていた「第1ナニワ丸」が現地時間午前1時、高速ボードに乗った6人の海賊に襲撃されたという。
海賊は、タンカーに積んでいた500万リットルのディーゼル油の半分以上を抜き取り、待機していた2隻の船に積み込んだ。タンカーにはインドネシア人、タイ人、ミャンマー人、インド人が乗船しており、連れ去られた乗組員はインドネシア人とみられている。
【活発なマラッカ海峡の海賊】
マラッカ海峡は、世界の海上石油貿易量の約4分の1が通る重要な海域である。
地元の安全保障当局者は以前、マラッカ海峡で活動する武装ギャングは乗組員と通じているか、船内の情報を持つ犯罪組織の可能性があると述べていたと、ガーディアン紙は報じている。彼らは盗んだ石油などを闇市場で売りさばくという。
アジア海賊対策地域協力協定の本部(シンガポール)によると、武装ギャングによるマラッカ海峡の攻撃は、過去3年にわたり年間12~20件あるという。
一方、アメリカのニュースサイト『QUARTZ』は、漁獲量の減少による収入減を補う手段として、地元の漁師が海賊に転身し、身代金目的で誘拐している可能性を報じた。
【世界的には海賊事件は減少】
海賊行為は通常、船舶用品や現金の窃盗、乗組員への暴行などが多いという。
今回のような誘拐は、世界的に海賊が減少する中、マラッカ海峡など東アジアの重要な航路などでは悪化しているという最新の兆候だ、とQUARTZは報じた。
同サイトによると、2013年の世界の海賊被害は未遂も含め264件だった。ソマリアの海賊が最も活動していた2011年からは41%減となっている。ただ、2013年の被害のうち約75%は東アジアで起きたという。
【東南アジアの海賊を形成する5要因】
米ノーチラス研究所は、東南アジアの海賊を形成する5要因として、「乱獲」「海事法規の不足」「犯罪組織の存在」「政治的に過激な動機を持つグループの存在」「蔓延する貧困」を指摘した。
このうち「犯罪組織」について、現在アジア最大の犯罪組織は日本のヤクザと中国マフィアだと指摘。これらの組織は自国以外でも東南アジアなどで多くの違法行為を主導しており、その一例が海賊ギャングだとしている。
また「政治的に過激な動機を持つグループ」について、東南アジアでは現在「モロ・イスラム解放戦線」「フィリピン南部のアブ・サヤフ」「アチェ独立運動」が海賊にかかわっているとみられているとした。
同研究所は、解決するには「海賊への対応」が最も重要だが、「海賊が発生しやすい海域のパトロール以上に困難かつ複雑な作業だ」と結論づけている。
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