“税金の無駄遣い” バージニアで可決間近の「東海」教科書併記、米読者は辛辣な反応

 日本海について、韓国側が主張する「東海」という呼称を教科書で併記するという法案が、5日、米バージニア州下院で可決された。あとは知事の承認を待つ段階となっている。

【実は苦しい知事 日本との板挟み】
 知事には拒否権もあるが、スポークスマンによると「知事は承認する」とのことである。マコーリフ知事は選挙期間中、この法案を支持していたため「知事は公約を守る」ということをアピールした形である。

 しかし、ワシントン・ポスト紙によると、知事は表向き常に支持の姿勢だったが、実は裏では法案潰しに必死だったという。

 多く在住する韓国系の支持を得るべく賛成の意向だった知事だが、そこへ日本からの差し金が入った。巨額の投資を地元へもたらす日本から経済的に受けるダメージを示唆され、知事は苦境に追い込まれた。そこで、公約通り法案支持の姿勢を保ちつつ、裏ではなんとか廃案になるよう働きかけていたのだ、と同紙は伝える。

 そのひとつが、修正案の提出だ。下院で修正が認められると、もう一度上院に戻さなくてはならなくなる。そうやって時間稼ぎをして会期末まで持ち込めれば、知事を「承認」しなくてはならない苦境から救える、といった具合だという。

【知事の時間稼ぎも実らず】
 修正案は、「アフリカ系アメリカ人やアメリカ先住民による文化的貢献は十分に感謝されるべき」という趣旨も教科書に加える、というもので、ジェニファー・マクリラン議員により提出された。この主張は、2003年に却下された経緯がある。同議員は「長年教科書は”奴隷がその暮らしに満足していた”と教えてきた」と訴えたそうである。

 しかし、下院議長はこの修正案を「本法案との関連性が低い」と位置づけた。結局法案は、82対16と大多数の票を得て、可決となった。

【喜ぶ地元韓国系団体と、その支援議員】
 バージニアの地元紙『タイムズ・ディスパッチ』によると、地元韓国系団体のピーター・キム代表は「来年に引き延ばされるような修正がされなくてよかった」と語ったそうである。

 また、マースデン議員は「この法案は、バージニアが移民をあたたかく迎え入れる象徴となるだろう」と発言しているとのこと。同議員は、最初にこの法案を上院に提出した人物である。

【アメリカ人にはどう映る?】
 本法案は、当初から「韓国系有権者のご機嫌取り」が囁かれてきた。それだけに、各方面からは「アメリカ人にとっての意義」を疑問視する声があがっているようだ。

 Webマガジン『Slate』のジョシュア・キーティング氏は「小さな違いをめぐって大騒ぎ」といった印象だと語る。それよりもむしろ、マクリラン議員の言う「奴隷は満足していた」と長年教えていたことのほうがよほど問題だ、と述べている。

 NBCのサイトには、「なんという税金の無駄使い」、「州議会は雇用促進とか他にやることあるでしょうよ」といったコメントが寄せられている。議会と地元の韓国系団体は必死でも、多くのアメリカ人にとっては単なるから騒ぎ、と映っているのかもしれない。

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Text by NewSphere 編集部