ソチにテロリスト「白の未亡人」侵入か  “情報面でロシアとアメリカは協力すべき”との声も

 自爆テロを企てているとして、ドク・ウマロフ率いるイスラム過激派テロ組織カフカース首長国に参加しているとされる、サリマというニックネームを使用するルザーナ・イブラギモヴァという女性が、ロシアで指名手配されている。

【テロリストからの恐怖のビデオメッセージ、自爆テロを企てているとされる女性がロシアに侵入…ロシア内で緊張が高まる】
 abc NEWSによれば、ルザーナ・イブラギモヴァは、昨年ダゲスタン共和国で警察との銃撃戦で殺された闘士の未亡人で、“白い未亡人”(white widow)と呼ばれている。Fox News.comによれば、“白い未亡人とは、ジハードの未亡人で、攻撃を開始するために“調和”しようとする女性を表す言葉である。一方、“黒い未亡人“もまたよくみられる表現で、特に、ロシアとの戦いで夫を殺された、チェチェンの未亡人を表している。

 abcNEWSによると、彼女は今月初めにダゲスタン共和国を離れ、約10日前にソチに到着したとみられる。プーチン大統領が“はがねのリング”と呼ぶ公安部隊をすり抜けてソチに侵入した可能性もあるとして、緊張が高まっている。

 先月、ロシアのヴォルゴグラードで起きた連続爆破テロに関与した自爆テロ犯とみられる男2人から次のようなビデオメッセージも届いている。「私たちは、あなたに、サプライズプレゼントを用意するでしょう。そして、ソチに訪れる観光客、彼らのためにもサプライズを用意しています。…これが私たちの復讐となることでしょう。」

【ソチオリンピックを安全に開催するため、ロシアはどうするのか?】
 CNNによれば、プーチン大統領は、ソチオリンピックの観光客を守ると約束した。また、プーチン大統領は、ロシアは例えばG8やG20などをといった国際的なイベントを安全に開催した経験が豊富にあるということも指摘した。またプーチン大統領は19日のインタビューで、ソチまでのアクセスは厳格な規制のもとにあり、約40000のロシア警察、ロシア公安部隊がソチオリンピックを監視すると述べた。
 
 だが公安に関するアナリストは、ソチオリンピックを標的にしているテロリストは、ロシアのどの場所でも攻撃する可能性があると警告している。

【アスリート、専門家たちも不安を隠せない様子】
 CNNはフランスのスノーボーダーであるシャビエール・デ・ラルーの次のようなコメントを紹介している。「私のソチに関する懸念は、ある意味で、安全性です。なぜなら、ソチは気の狂った戦争地帯にあるからです。」「ソチはロシアを殺すことを望む国々の真ん中にあります。だから、ある意味で私たちは標的にされるだろうから、とにかく恐ろしいです。オリンピック関係者は、ソチオリンピックを安全に開催するためとてもよく働いているけれど、それでもやはり、少し怖いです。」

 またCNNによると、上院諜報委員会のメンバーで上院議員のアンガス・キング氏は、彼自身は絶対にソチ五輪には行かず、「家族を行かせることもないだろう。」と述べた。

 下院諜報委員会の議長であるマイク・ロジャース氏は、オリンピックが始まる前に、情報共有の面でもっとアメリカと協力するように求めた。「懸念のレベルは高いが、オリンピックで選手を守るだけの情報を入手することはできていないようだ。これはすぐに変えなければならない。」とロジャース氏は述べた。

テロリズムの歴史 (「知の再発見」双書161)

Text by NewSphere 編集部