アメリカとの関係に懸念も 安倍首相の靖国参拝、英米メディアはどう報じたか?
安倍首相が26日、首相に就任して以来、初めて靖国神社に参拝した。首相が靖国神社を参拝するのは小泉首相以来となる。安倍首相が靖国神社参拝に踏み切った理由、中国や韓国、アメリカの反応に英米メディアは着目している。
【安倍首相はなぜ今回靖国神社を参拝したのか】
安倍首相は「私は尊い命を戦争で亡くされた方々に敬意を払い、その方々の魂が安らかに眠られることを祈った」、「不戦の誓いを堅持していく決意を新たにした」と語ったという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙などは、さらに、「中国や韓国の方々の気持ちを傷つける意図は全くない」、戦犯崇拝との批判は誤解、との首相の主張を紹介している。
安倍首相は2006年から2007年の前任期間中に靖国神社を訪れなかったことを悔いていると何度も述べていたという。同紙は、首相となって1年後の靖国神社参拝は信念の反映であり、また保守派に訴える動きであると報じている。
また、岸田外務大臣の、「安部総理の靖国神社参拝は個人的な問題であり、政治的・外交的な問題として扱われるべきではない」というコメントも紹介している。
【靖国神社参拝で中国、韓国との関係は確実に悪化 アメリカとの関係にまで悪影響?】
中国外務省は、「安部総理の行為は日本の過去の軍国主義をごまかすためのものであり、その行為は尖閣諸島をめぐってすでに緊張している両国の関係をさらに悪化させるだろう」と述べた。また韓国のスポークスマンは「日本政府は自制をしないだけでなく、両国間の歴史問題に関わる別の事件を生みだすことによって事態を悪化させる。そして、両国の関係を改善するにあたっての新たな政治的障害を生みだす」と述べている。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「アメリカがどれだけ日本に、アジアの近隣諸国との関係を改善するよう求めているかを考えれば、アメリカとの関係も悪化しそうである」との専門家のコメントも紹介している。同氏はまた、安倍首相の経済政策は「愛国主義的な意図を隠すための見せかけ」とみている。
【英紙は中国への懸念も報じる】
フィナンシャル・タイムズ紙は、中国政府が、自身を日本とアメリカによるいじめの犠牲者であるとみせるようにし、日本とアメリカがアジアで問題を引き起こそうとしていると非難している、と報じている。実際には、近隣諸国が中国の軍事力増大と領土問題における強引さに警戒を強めているのにもかかわらずだ。
中国メディアは、しばしば中国を、日本に対抗し他国のために立ち上がる国であると報道するが、アジアにおける調査によると、日本に敵意を抱いている国はだいたい中国と韓国に限られるようだ、とも報じている。