グーグル買収の日本ロボットベンチャー、米国防総省の災害救助競技会で圧勝 今後に海外メディア注目
フロリダ州で20~21日に開催された災害ロボット大会予選で、米グーグル社が買収した東京大学発のベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」が1位となった。
車の運転、凸凹道歩き、がれき除去など全8種目で高得点を記録し、32点満点中27点を獲得。2位の米フロリダ人間・機械認知研究所(HIMC)の20点を大きく上回る圧勝となった。
本大会は米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催するイベントで、上位8チームが100万ドルの開発資金を獲得し、来年12月の決勝大会へ進出する。決勝大会の優勝チームには賞金200万ドルが授与される。
【ロボット先進国にもかかわらず、福島事故に対応できるロボットは不在】
本大会の目的は、福島第一原発事故のような緊急時に人が近づけない現場で作業できるロボットの開発だという。
CNETは、日本はロボット工学において優れた能力を持っているにもかかわらず、福島事故のときに使えるロボットがなかったと指摘。今回の日本チームの勝利は皮肉だと報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙も、ロボット先進国の日本で、そのような緊急時に即対応できるロボットがなかったという事実は驚きだと報じた。
【ヒト型ロボットの今後の課題は、「自律性を高めること」】
シャフトは今回1位となり、災害時に活躍するヒト型ロボットとして世界一の性能が認められた。リーダーの中西雄飛氏は、2007年に開発した全身筋骨格ヒューマノイド「小次郎」で知られる人物である。
『エクストリームテック』は、シャフトがバッテリーやサーボでなく、コンデンサ(蓄電器)を使っていることを指摘。パワフルなコンデンサを使うことで、より強く俊敏な筋肉を持っていることに注目した。
その一方で、ロボットはまだ人間がコントローラーで動かしているため、明らかに動きが遅いと指摘。シャフトなどヒト型ロボットの次のステップは「自律性を高めること」だと論じた。
【グーグルが最近強化しているロボット事業計画の詳細は不明なまま】
米グーグルは最近ロボット事業を強化している。同社はシャフトを買収したばかりで、他にも軍用ロボット開発の米ボストン・ダイナミクスなど、ロボット開発のベンチャー企業を次々と買収している。
同社はロボット事業について、「軍事産業に進出する意図はなく、あくまでも商用・民生用ロボットの実用化だ」と表明しているが、具体的な計画は明らかにしていない。
『エクストリームテック』は、グーグルは「今後、軍事産業に進出しない」と公式に表明した事実に悩むだろうと指摘した。さきのコンテストで優勝したチームは、アメリカ政府と大口の契約交渉をすることになる。同メディアは、政府はロボットを災害救済や戦争のために調達したがっているとみている。