アジア人の整形手術、西洋人に近づくため? 海外メディアで議論白熱

 整形手術を決断したイギリス在住のアジア人男性をめぐり、海外ニュースサイト『バズフィード』で白熱した議論が繰り広げられている。

【いじめを背景に整形手術を決意】
 コラムの主役は、中国のルーツを持つイギリス在住の教師レオ・ジャンさん(24)。同コラムによれば、彼は、容姿の「アジア人的な特徴」を「消し去る」ため、3度にわたる整形手術をしてきた。決意の背景には、人種をターゲットにしたいじめに遭った経験があったという。

「別人に生まれ変わる」ことを決意したジャンさんは、16歳のときに西洋的な名前に改名。2010年から二重手術、隆鼻術(鼻を高くする手術)、顎の形成手術等の整形手術を繰り返している。ジャンさん自身は「人種を変えたかった」と発言はしていないものの、「アジア人としての容姿がコンプレックスだった」「(手術、改名等を経たことで)ある程度アジア人でなくなったかもしれない」と語っている。こうした発言をもとに、同コラムでは、アジア人の整形手術と人種やコンプレックスの関係について考察している。

【アジア人の整形手術の動機は西洋人に近づくため?】
 アジア各国で整形手術が盛んに行われるようになってからというものの、アジア人の整形手術は、白人に近づくための「西洋化」手術か否か、という議論が絶えない。

 アジア人の整形手術を「西洋化手術である」とする意見は少なくない。CNNは過去に「アジアの美の理想像は白人」「アジア人が『西洋的』な容姿を求め、整形手術がブームに」といったタイトルの記事を報道。デイリー・テレグラフ、ジェゼベル等の大手オンライン紙でも同様の報道がなされている。また、米国最大の医療従事者団体『アメリカン・メディカル・アソシエーション』発行の学会誌も、二重手術に関し「人種的・民族的アイデンティティに結び付く特徴を改変する意図」が潜むケースがある、と批判的な言及をしている。

 一方、豪サンデー・モーニング・ヘラルド紙は、アジア人の整形手術は「西洋化」手術である、という主張に対する反論を紹介。例えば、「二重まぶたを『白人』の特徴として認識すること自体おかしい」「アジア人の手術が『西洋化手術だ』と批判されるのは、(西洋人中心的である)人種差別的な思考が裏にあるのでは」などの意見がある。

【当事者も交えた議論は白熱】
 同コラムのテーマの「当事者」ともいえる、英語圏のアジア人読者が反応したため、100件以上のコメントが寄せられ、議論は白熱。トップのコメントには537ものいいね!がついている(2013年12月17日時点)。寄せられたコメントの一部は以下の通りだ。

<特定の身体的特徴を「西洋人」に結び付けることを疑問視する声>
・二重手術イコール「西洋化手術」なら、豊尻手術は「アフリカ化手術」ってことかい?(※豊尻手術は白人患者に人気)

<そもそもジャンさんが「西洋人」に見えないという声>
・ちょっと変化した部分もあるけど、どう見てもアジア人の容姿のままだよね。個人的には、(「西洋化」という表現は)大げさだと思うな。

<記事の問題提起を認める声>
・私もアジア人のハーフだけど、同じアジア人の「人種」や「現地適応」に関する問題や、そのなかでも「西洋人」になりたいという願望に端を発する問題をいろいろとみてきたよ。

<記事を批判する声>
・本当にアジア人のコンプレックスに対して問題意識があるのなら、(人種をめぐる社会構造の)被害者であるアジア人を責めるより、西洋文化がアジア人に与える影響について考えるべきでしょう?

 今回コラムのコメント欄で盛り上がった「人種」に関する議論。英語圏では、整形手術に絡めて人種の問題や社会構造が議論される傾向にあるが、アジア人の整形手術について日本の読者はどう考えるだろうか。

Text by NewSphere 編集部