ハゲ克服へ大きな一歩か? “薄毛酵素”発見の可能性

 中年を迎える一部の男性にとって悩みの種の「薄毛」。日本では、成人男子の4人~5人に1人が薄毛に悩んでいると言われ、ストレスの多い現代社会、その割合は年々高くなっているようです。

 世界的にみると、地域差があり、欧米諸国のほうがアジア諸国よりも薄毛率が高いようですが、ともあれ、万国共通の悩みである薄毛。世界各地で対処法、治療法の研究・開発が盛んに行われています。

 それでも、抜け毛・発毛のメカニズムの解明は難しく、治療薬に関しては、現状、科学的にも効果の認められたものは数少なく、発毛を促進するものは存在しません。

 しかし、状況は変わりつつあるのかもしれません。「この分野にとって今が一番エキサイティングな時」とある研究者が言うように、近年、可能性を感じさせる発見が相次いでいます。人類が薄毛を克服できる日は近いのか?最新の技術動向をまとめてみました。

【細胞のクローン化】
 今話題になっているのが、米コロンビア大学と英ダラム大学の研究チームによる新しい発毛方法の研究。毛髪を脱毛箇所に移植する従来の方法と異なり、毛を作る細胞を頭皮から採取し、そのクローンを施設で量産して、それらを頭皮に戻すというもの。現在、マウスにそのクローン細胞を植え付ける実験では成功しており、今後臨床試験を行う予定とのことです。

【脱毛症の原因PGD2】
 続いて「PGD2」について。これは、昨年米ペンシルバニア大学が、男性型脱毛症の原因になっている可能性があると特定した酵素。薄毛の人の頭皮には、通常の3倍のPGD2が存在することがわかりました。既に製薬会社が、抗アレルギー薬に同酵素を抑制する効果があるとして、テストを行っています。実際に人体で効果が確認されるまでにはまだまだテストを重ねる必要があるようですが、こちらも今後の展開が期待されています。

【毛包の再生因子FGF9】
 その他、注目されているのが米Follica社によるFGF9の研究。同社は、皮膚の損傷時に、FGF9というたんぱく質が、毛髪の再生に重要な役割を果たしていることを発見。これを利用し、器具で故意に皮膚に傷をつけ、その際にFGF9を投与して新しい毛包の再生を促すというもの。こちらもマウス実験では成功しており、現在臨床試験を行っているということです。

 上記のなかで実用化されるものがあるのか、それとも他の新技術が登場するのか、現時点では何とも言えませんが、遂に人類が薄毛問題を克服する日がやってくるのか、非常に興味深いところです。

Text by NewSphere 編集部