出版不況の時代になぜ? ニューズウィーク誌、紙媒体復刊の戦略とは
アメリカで80年の歴史を誇る老舗ニュース雑誌『ニューズウィーク』は、2014年から紙媒体で雑誌を復活させる計画を立てていると、ニューヨーク・タイムズ紙が3日に報じた。
同誌は約1年前に紙媒体の発行を取りやめ、電子版『ニューズウィーク・グローバル』に移行し、オンラインのみのサービスになっていた。スマートフォンやタブレット型端末機が急速に普及し電子版が定着しつつあり、かつ紙媒体の購読者の減少が続いた背景があった。
同誌のジム・インポコ編集長によると、2014年の1月ないし2月から、紙媒体で64ページの分量の週刊誌を発行する予定で、初年度は10万部の発行を見込んでいるという。
ニューズウィークは1991年、全世界で330万人の購読者がいたが、その後20年間減少を続け、2010年には150万人になっていた。
【デジタル時代になぜ紙媒体復活?勝機はあるのか】
ニューヨーク・タイムズ紙によると、紙媒体を復活させる理由について、インポコ氏は、広告よりも定期購読から大半の収入を得るモデルを目指していると語っている。ニューズウィークは以前、広告収入に依存することで購買価格を低く設定してきた経緯がある。
インポコ氏は紙媒体を、プレミアム商品、ブティック(専門特化型)商品と見ていると述べており、24人以上のスタッフを採用し、国際的なニュースの拡大を目指すという。また、内容もよくあるニュースの要約や論説ではなく、大半はオリジナルの記事になるよう目指す、と差別化を図る構えだ。
【紆余曲折する米老舗ニュース雑誌 この数年で3回オーナーが変わる】
ニューズウィークは1933年創刊の「老舗」でアメリカを代表するニュース雑誌である。しかし2010年には、米メディア大手のワシントン・ポストから1ドルでシドニー・ハーマン氏が買収した。
その後、インターネット複合企業AC/インタラクティブが運営している「デイリー・ビースト」と統合させられている。当時創刊2年の新興ニュースサイト「デイリー・ビースト」と、伝統ある「ニューズウィーク」が、折半合弁会社「ニューズウィーク・デイリー・ビースト・カンパニー」を立ち上げた。このベンチャー企業の編集長はデイリー・ビーストのブラウン氏が兼任。
2012年10月、ブラウン編集長は電子版『ニューズウィーク・グローバル』を発表し、紙媒体から移行することで年間4千万ドル節約できると述べ、実行に移した。しかし8月、米インターネットニュース会社IBTメディアに売却され、現在に至っている。