北朝鮮、原子炉再稼働か 核計画の動向を世界が懸念

 28日、国連原子力機関(IAEA)は、北朝鮮が寧辺の核関連施設で、実験用原子炉を再稼働させた可能性があると発表した。天野之弥事務局長は、衛星による観測により、寧辺施設の排気口からの蒸気や川への冷却水の排出等、稼働に向けた試運転の様子が発見されたと発表している。ただし、施設への立入が不可能なため、再稼働を断定することはできないとしている。

【2007年寧辺核施設停止から今年の再稼働までの経緯】
 寧辺の核施設は2007年に閉鎖、政府は主要施設を停止させたと英テレグラフ紙は報じている。翌2008年には寧辺施設の冷却塔を公開で破壊、同施設は数年間停止していた。

 2009年、北朝鮮はIAEAの調査要員を追放している。

 今年2月、北朝鮮は3度目の核実験を行った。2ヶ月後には核兵器強化のため寧辺の全施設を再稼働するに至ったと同紙は報じている。7月、同国はアメリカが「非友好的な政策」を止めなければ核抑止力を放棄しないという意向を示した。9月、アメリカの研究所と当局が衛星画像から核施設の再稼働の可能性を検知したことを発表した。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院の米韓研究所は、8月31日の衛星画像に原子炉の蒸気タービンと発電機がある建物から白煙が出ているのが見えることを発表した。10月8日、大韓民国国家情報院(NIS)は国会に原子炉の稼働再開を報告しているとテレグラフ紙は報じている。

【再稼働の原子炉、稼働の目処と核兵器の製造力は?】
 北朝鮮は4月、寧辺の原子炉再開を発表した。放置による著しい損壊が無ければ半年程で稼働できる、という原子力専門家の見解を海外各紙は報じている。

 核兵器や長距離ミサイル廃絶を呼びかける国際社会の警告を北朝鮮は拒絶。再稼働が検知された施設は、10発分の原子力爆弾を作れる核分裂物質を有する可能性があると各紙は報じている。ただし、情報分析によると、そのような兵器を作る技術力はないと見られていることも伝えられている。

【IAEA理事会「北朝鮮の核計画に深刻な懸念」】
 アメリカのジョセフ・マクナスIAEA担当大使と天野事務局長は、北朝鮮の核計画に関して深刻な懸念を示している。ロイターは、マクナス氏の「北朝鮮の報道機関は政府の核抑止力への支援に関する報道を強調し続けている」「非核化の誓約とはほど遠く、これらの報道は核兵器追求を示唆している」とのコメントを紹介している。

Text by NewSphere 編集部