イラン核問題解決に向け、日本の役割に海外も期待か?
イランは11日、国際原子力機関(IAEA)の同国核施設への追加査察を容認した。ジュネーブで先週末に行われたイランと欧米など6ヶ国との協議は不調で終わったが、一歩前進した形と言える。
イランはIAEAに対し、一部核施設への査察を容認したものの、核研究が実施されていたとみられる軍事施設などへの査察は認めておらず、「重要な問題は未解決のままだ」とワシントン・ポスト紙は報じている。
IAEAの天野事務局長は、イランのサレヒ原子力庁長官との共同記者会見で「今回の合意は最初の重要な一歩だが、さらに多くの作業が必要だ」と記者団に話した。
【6ヶ国協議は難航】
イランの核開発疑惑を巡っては、アメリカを始め各国が制裁を実施。イランは「平和的利用」を主張し、議論は堂々巡りに陥っていた。イランと、国連安全保障理事会5常任理事国にドイツを加えた6ヵ国の国際協議では、対イラン経済制裁の解除合意に至らなかった。
フランスのファビウス外相は、イランが既に保有している約20%の濃縮ウランの核兵器転用阻止に向けた措置などが不十分だと して異議を唱えたという。なおウラン濃度が20%以上のものは、原子爆弾、研究用原子炉、軍事用艦艇の推進機関などに使用可能。原子爆弾に使用される高濃縮ウランは、濃縮度が90%以上(最低70%以上)必要だと言われている。
イランのロウハニ大統領は10日、ウラン濃縮を含めた核技術を使用する権利があり、妨害してはならない一線「レッドライン」だと強調し、欧米など6ヶ国との核協議で譲歩はしないとの考えをあらためて示した、とBBCは報じている。
【イランに日本製原発を建設か】
一方、日本の岸田外相は10日、イランでザリフ外相と会談し、核問題解決に向けた協力を確認。解決後には、原発建設で協力する意志があることも表明した。
水嶋副報道官はテヘランで記者会見を行い、「日本はイランの核問題が解決され、懸念が払拭された後、イラン側から要請があれば、原発建設を支援する用意がある」と語ったとイラン国営イルナー通信が報じている。
専門家によると、イランの電力需要は年率7-8%のペースで増加しており、これを満たすためには、毎年3,200MWの電力設備を投入する必要があるという。
イランでは現在、南部ブシェールでロシア製の商業用原発1基が稼働している。イランの原発は1974年から着工されたが、イラン革命、イラン・イラク戦争などで再三延期され、2011年にようやく稼働を開始した。電力面・技術面ともに、日本の原発建設支援に対する期待は大きいと考えられる。
なおイランと6ヶ国は、20日から再協議を行う予定だ。