大気汚染、鍵は石炭にあり 2017年北京の空は青空となるのか?

 12日、中国政府は大気汚染対策の計画を発表した。計画は石炭燃料の消費量を抑え、それに伴い、原子力の発電容量を上げ、天然ガスタンクのパイプライン輸送能力を増強、環境を汚染している老朽化した工場の閉鎖や車の排気ガスにも着目している事を海外各紙は報じている。
 
 2017年までに国内総エネルギー消費のうち、石炭消費量を昨年の66.8%から65%に引き下げる事が発表されている。また同2017年までに非化石燃料エネルギーの割合を昨年の11.4%から13%に、2020年までには15%まで増加を目指す事を海外各紙が伝えている。計画はまた、PM2.5の濃度を1平方メートルあたり60マイクログラム以下に抑えて行く方針であることをニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

【計画の背景は?】
 1月に首都北京を含む北部工業地帯で有害スモッグ発生以降、政府は大気汚染対策への取りくみに重度のプレッシャーをかけられていた事をガーディアン紙は伝えている。今年に入って政府によって概要が公表された計画は、汚職と野放しの経済成長によって水と油のように分裂した政府に対する批判の高まりと、国の大気汚染の放置に関して、政府による最も具体的な回答を示したものである、とニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。
 
 中国の都市は世界でも有数の大気汚染都市であり、『疾病負荷2010』によると2010年、大気汚染が原因で健康を損ない、亡くなった人が120万人にのぼる、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

【微粒子物質の濃度】
 何年もの間、中国当局はPM 2.5 計測を公にしてこなかった事をニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。多くの中国人は、米大使館の屋根に設置された計測器に基づいた大使館の観測ツイートに頼るようになった。これはPM 2.5計測を公にするよう、政府に対しての圧力となった、と同紙は分析している。北京は2012年1月からPM 2.5レベルを公開、また新華社は74の都市が今年に入ってPM 2.5レベルを公開し始めていると報じている。

 計画の実行により、中国全土のPM10の濃度は10%、北京と河北省のPM2.5濃度は25%、長江デルタと珠江デルタは20%削減すると見られることをフィナンシャル・タイムズ紙は伝えている。

【計画実行の課題は?】
 中国は世界の石炭消費の半分を占めている事をニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。同紙は「中国が石炭に依存した産業から脱却しなければ、大気汚染を防ぐキーとなる”石炭消費の阻止”はできない。」との、環境推進派の見解を紹介している。

Text by NewSphere 編集部