米TPP責任者フロマン氏、来日 日本のコメの、保険の行方は?

 19日東京で、23日からブルネイで行われるTPP交渉会合に先駆け、日米の貿易交渉最高責任者が会談した事を海外各紙が報じている。

 米通商代表部(USTR)代表のフロマン氏は、日本に対して、年内妥結を求めている自動車市場・保険市場の解放を強調。TPP交渉は、オバマ大統領の『アジア太平洋リバランス戦略』において不可欠なものである、と述べ、大統領にとって年内妥結は最優先事項であることを語った、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

 甘利明TPP担当相は、「TPPと日米2国間の平行交渉の速やかな年内妥結に向け、連携することを確認した」とコメントしている。

【米の意図は?】
 フロマン氏の来日は、日米両国がTPP交渉の年内妥結にむけて足なみをそろえることを確認し、コメなどへの関税と規制の廃止に反対する圧力団体に負けず、会合を終えるためだろう、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は分析している。

 アメリカは、経済に重大な影響を及ぼす可能性のある幅広い取引を発展させるため、TPP加盟国に譲歩するよう多くの面で働きかけてきたという。さらに、米国企業への新措置や知財産権を含む新しい貿易協定のモデルを作ろうとしてきた事をフィナンシャル・タイムズ紙は伝えている。

 しかし、日本の自動車・保険市場の解放は、米国の重工業地帯などを地盤とする議員が反対している。彼らは日本円の切り下げにも憤っており、オバマ政権に対して、TPPにおいてアメリカが容認していない、為替への対処を要求していると同紙は伝えている。

 こうした状況下で、アメリカがTPP交渉の年内妥結を推し進めるのは、来年控えている欧州との貿易交渉を終わらせるべく、米連邦議会による承認が必要だからだ、と同紙は伝えている。

【来たる会合では…】
 アメリカは、フロマン氏が「センシティビティ(重要品目)」と表現した問題を抱えており、23日から行われる会合では、これらの関税廃止に関して触れなくてはならない。

 また、同氏と甘利TPP担当相が出席する上、各国がセンシティブな問題に取り組まなければならず、関税廃止のスケジュールを立てなくてはならない為、重要なものとなる事が予測される事をフィナンシャル・タイムズ紙は伝えている。

 日本政府は対象農産品に関する関税の保持を公約しているが、フロマン氏は、センシティビティ(重要品目)は「交渉によって解決されるべき」とし、米国の目標を「関税撤廃を含む高水準で野心的かつ包括的な合意」とした事をウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部