無給インターンの77%は女性? フェイスブックCOOのNPO「炎上」があぶり出した、米国雇用の矛盾
14日、女性キャリア支援NPO「LeanIn.org」(以下、LeanIn)のジェシカ・ベネット氏による、「無給インターン募集」に批判が集まった(「LeanIn」は、フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)が立ち上げたNPO)。
ただし、16日には、LeanInのレイチェル・トーマス理事長が、インターンプログラム制度を利用する学生に正式に給与を支払うとコメントした。
トーマス氏は、現在無給のボランティアを活用している事実はあるとしながらも、「いま議論が起きている人材募集の内容は、LeanInの「ボランティア」の定義に当てはまるものではありません」と理解を求めている。
【議論が分かれるボランティアの意義】
ハフィントン・ポストはこの件について、赤十字の慈善活動などとは意味が違うと報じている。そもそもLeanInはNPOであり、問題となった募集は実務をこなす人材が対象であるためだ。
無給のインターンシップ制度については、近年、その合法性が議論されている。6月には米連邦裁判所が、米フォックス・サーチライトが映画「ブラック・スワン」の製作に無給のインターン生を使ったことで、違法行為を行ったとの判決を下している。
なお、同記事に寄せられたコメントでは、「金持ちは、高尚な目的のためであっても労働力を搾取するべきではない」、「サンドバーグは社会主義者か?」など、LeanIn創業者のサンドバーグ氏に反発する意見がみられた。
一方、「無給のインターン生は、業界での足がかりと経験を得ることができる。雇用側に有給を強いることで、インターン生の活用の場が減ってしまう」と、この制度のメリットを指摘する意見もあった。
【女性の権利支持団体の女性蔑視?】
米国の人気ソーシャルメディア情報サイト「マッシャブル」は、今回の募集は、サンドバーグ氏が進める、職場での性の平等と公平な賃金支払いと矛盾するものだと報じている。
サンドバーグ氏は3月に、「現在の状況を改善したい。女性の賃金を上げたい。どうやったら彼女たちがより多くの支払いを受けることができるのか、交渉の手段を教えたい。」と発言していたという。
2010年の米国のインターンシップに関する調査では、無給インターン生の77%は女性だった。
さらに、大学と雇用主の全米連合(NACE)による最近の調査では、無給インターン制度を利用した学生の初任給平均は、有給インターン制度を利用した学生よりも、45%以上も少ないと報告されている。
ハフィントン・ポストへのコメントでは、「(LeanInは)貧しい人々への直接的な支援を目的とする慈善事業とは違う。女性の権利と影響力を拡大しようというのが目的にもかかわらず、女子学生を無給のインターン生として使っている。皮肉でしょ?」と、NPOの矛盾をつくコメントもみられた。