オバマ大統領、ロシアとの首脳会談を異例の拒否 スノーデン氏の影響か?

 アメリカは7日、9月にモスクワで予定されていた、オバマ大統領とプーチン大統領の首脳会談を見送ると発表した。

 武器規制や貿易、ミサイル防衛、人権等の問題に進展が見られない事に加え、ロシアがスノーデン氏の一時亡命を認めた事も会談中止の一因、としている。アメリカの大統領がこのような会談を中止するのは、過去10年ほどなかったとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

 ロシア当局は、米国の会談中止の意向に関して失望したとしながらも、モスクワに招待している事に変わりなく、差し迫っている問題に関して協力する準備はできていると語った。なお9日に開催される米ロ国防・外相会談は予定通り行われる。

 アメリカ政府は、オバマ大統領はプーチン大統領との2国間会議を見送るが、ロシアのサンクトペテルブルクで行われるG20首脳会議には出席予定だと発表している。見送られた首脳会談について、スケジュールの再調整はなく、G20開催中もオバマ大統領がプーチン大統領と個別に会う予定はない、と各紙は報じている。

【以前より続いていた緊張】
 6日夜のNBCの番組で、オバマ大統領は、スノーデン氏の亡命に関してロシアに失望したと語り、冷戦時代の思考に戻ってしまう、という旨述べた。

 オバマ大統領は、2009年の就任後、ロシアのメドヴェージェフ前大統領の就任時、数年にわたり緊張状態にある関係性の修復を誓っていた。ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を支援し、イランへの制裁に同意した。

 しかし、プーチン大統領が昨年大統領に再就任してからは、シリア内戦や武器規制問題などで、両国が対立状態に戻っているとニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。

【今後の米ロ関係は?】
 オバマ大統領の決断は、共和党、民主党の両党から支持を集めている事をニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。

 今回の会談見送りに関して、アメリカの専門家は現状を冷戦時代と似ている事を指摘。ロシアの専門家は、ロシアはアメリカとの関係性の改善を試みる理由を見いだしていない、と語ったとガーディアン紙は報じている。

 今後の米ロ関係の行方に注目が集まる。

Text by NewSphere 編集部