イエメンで「アルカイダのテロ計画」発覚か?米国などが警戒の理由

 米国務省は6日、国際テロ組織アルカイダによる「特定の差し迫った脅威」があるとして、イエメン国内の米国大使館員を全て引き揚げ、同国民にも国外へ出るよう警告した。

 米中央情報局(CIA)は、パキスタンに潜んでいるとみられるアルカイダ幹部とイエメンの「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」トップとの通信を傍受し、その内容から、近いうちにイエメン国内でテロが実行されるという計画が明らかになったという。

 緊張が高まるイエメンの情勢を海外各紙が報じている。

【西側諸国の国外避難】
 CIAの発表を受けて、多くの西欧諸国の大使館と領事館が人員を国外に引き上げ、週末には閉鎖した。

 このような動きにイエメン政府は一定の理解は示しながらも、不快感をみせたという。駐米イエメン大使は、「大使館員の国外避難は、過激派を喜ばせる行動で、テロに対するイエメンとその同盟国の強い協力関係が損なわれるものだと考える。」と発言した。

 イエメンは、「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」の本拠地だと、ワシントン・ポスト紙が報じている。AQAPは、米国や西欧関連施設への攻撃を行う可能性が最も高い組織と考えられている。実際、2009年のデトロイト行き飛行機爆破未遂事件や、2010年の貨物機に爆破物を仕掛けた事件などの犯人として訴えられている。

 イエメン政府は、この緊急事態に、西側諸国の大使館の警備強化計画を発表。さらに、港や空港、石油のパイプラインや送電網など、重要施設への攻撃を警戒している。

【米国、無人機攻撃を再開】
 一方、オバマ大統領の新しい指針により中断されていた無人機攻撃が、7週間ぶりに実行されたようだ。ガーディアン紙によると、2機の米無人機が6日、イエメンの首都サナアの北東マリブで、4人のアルカイダ戦闘員を殺害したという。

 ただ、米政府がアルカイダによる攻撃を警戒し、在外公館を閉鎖したこととの関連は不明確だ。

 無人機による攻撃は、法的問題や誤爆の可能性などから非難が高まっていた。5月末には、オバマ大統領は、攻撃対象を制限するなどの指針を発表し、使用が控えられていた。

 ワシントン・ポスト紙によると、今回の無人機による攻撃は、CIAの情報に基づくという。攻撃目標や正確な時期など、詳細な情報は明らかにされていないようだ。

Text by NewSphere 編集部