イラン新大統領に穏健派ロウハニ師就任 閣僚名簿から見える新政権の方向性とは?

 イランのロウハニ新大統領が4日、議会で就任宣誓を行った。6月の大統領選で圧勝した同大統領は、欧米諸国に向け、「イランと交流する唯一の手段は対話である」とし、ウラン濃縮プログラムに対する制裁をやめるようけん制。一方、「互いの透明性が信頼という扉を開く鍵だ」と述べ、対話路線を強調した。

 また、自身の目的は、欧米の経済制裁に苦しむイラン国民の生活向上にあると語った。

 イランの最高指導者ハメネイ師は、全政府関係者に新政府を支援するよう求めた。

 米ホワイトハウスのカーニー報道官は、「ロウハニ大統領の就任は、イランが核開発問題をめぐる国際社会の深刻な懸念を解消するために速やかに行動する機会だ。新政府がこの問題を平和的に解決するため真剣に議論するなら、アメリカは協力的なパートナーとなるだろう」との声明を発表した。

 海外各紙は、8年にわたるアフマディネジャド前大統領の強硬路線からの転換に注目した。

【対話路線への変更】
 演説後、ロウハニ大統領は国会に閣僚名簿を提出。新閣僚には「急進主義」や「妄想」よりも、「節度と知恵」に基づいて行動するメンバーを選ぶと誓っていた。

 注目すべき1人は、外相候補として名前が挙がったベテラン元外交官ザリフ元国連大使だ。知米派の同氏は英語が堪能で、核交渉チームのメンバーだったことからも、ロウハニ師が対話路線を重視していることがうかがえる。

 また主要な閣僚のほとんどは、穏健派のラフサンジャニ元大統領のもとで務めた、経験豊富な実力者らが占めているという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、「元大統領が新政府でかなりの影響を行使するだろう」とのアナリストの指摘を報じた。

【山積する問題に対峙】
 イランは現在、激しいインフレ、歳入と外貨準備の減少、潜在的な食糧不足、28.3%と高い若年失業率、核問題をめぐる新たな米国の制裁など、問題が山積しているとニューヨーク・タイムズ紙は指摘した。

 こうした問題に新大統領がどのように対処するのか、今後の出方が注目される。

Text by NewSphere 編集部