スペインで脱線事故 速度超過が原因か?
24日、スペイン北西部ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラで、マドリード発フェロル行きの高速鉄道が脱線し、80人以上が死亡、130人が負傷する事故があった。
スペイン当局は、1940年以来最も悲惨な事故であると発表した。25日に予定されていた祭りや行事は中止となり、スペインは国を挙げて3日間喪に服する事を明らかにしたようだ。現地出身のラホイ首相は現場にて、「サンティアゴの者にとって最も悲しい日」とコメントした。
列車は急カーブを曲がったところで脱線し、線路脇の壁に激突した。事件の詳細に関してはまだ捜査中だが、同国メディアは捜査関係者の話として、運転士の1人が、制限速度の2倍以上の約190kmで走行していたことを認めたと伝えている。
【作動しなかった制御装置?】
事故を起こした運転手(52)は十数年の経験のあるベテランで、現在入院しており、事件当日酒気を帯びていなかった事を各紙は報じている。
監視ビデオを分析した専門家は、超過速度が原因と考えられるが、線路の損傷の可能性も指摘している。ただ、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、当局は線路の損傷に関して否定しているという。
また専門家は、速度制御装置が作動しなかった事に対して疑問を呈している事を海外各紙は伝えている。
【実は世界最大級、スペインの鉄道網】
スペインは道路や線路のインフラに力をそそぎ、中国に次ぐ高速鉄道ネットワークを誇っている事をフィナンシャル・タイムズ紙は伝えている。
2011年には、同国の鉄道会社が、イスラム教聖地のメッカとメディアを結ぶサウジアラビアの高速鉄道事業を67億ユーロで受注。当時不況に見舞われていたスペインの工業界に希望をもたらした事を同紙は伝えている。
そのため、スペインの政府と企業は、この事故の影響で、高速列車市場における同国の立場に打撃を与えないよう望んでいるようだと報じられている。