スノーデンが暴露したNSAの監視活動 アメリカ議会は規制に反対
米下院は24日、ジャスティン・アマシュ議員(共和党)が提出した、国家安全保障局(NSA)の情報収集活動を制限する法案を否決した。205対217の僅差だった。
NSAの情報収集活動は6月に、元CIA職員のエドワード・スノーデン氏によって暴露された。スノーデン氏は米当局に秘密漏洩の罪を問われており、現在ロシアに逃亡中だ。
今回の米下院の採決は、スノーデン氏の告発後初めて、政府の情報監視活動に対する同国議会の意思を問う機会となった。
法案の採決までの、賛成派と反対派それぞれの活発な動きを海外各紙が報じている。
【目立ちたがりの政治家が法案提出?】
ワシントン・ポスト紙は、アマシュ議員は、政治家としての目立った実績を作ろうと法案を提出したのだ、と皮肉な見方をしている。
同紙はまた、法案が可決されることはないだろうと事前に推測していた。NSAの活動は、米国憲法に反したものではないからだという。
しかし、法案が承認されなくても、情報監視活動を疑問視する世論が高まっていることは事実だ、とガーディアン紙は指摘している。ワシントン・ポスト紙紙が採決の直前に行った世論調査では、74%の人が、電話やインターネットの通信記録を国が監視することは、国民のプライバシーを侵害していると答えている。
【慌てた米政府】
政府側は当初、票の行方が読めず、可決をなんとか阻止しようと盛んなロビー活動を展開した。23日にはカーニー大統領報道官が、法案は「正しい情報に基づく、開かれた、あるいは、熟慮を経たものではない」と述べ、テロ防衛の手段を早計に失うことになると、法案反対の声明を出すなど異例の行動に出ていた。
また、普段は採決に票を投じないジョン・ベイナー下院議長も、法案反対にまわるなどした。
法案を支持するアメリカ自由人権協会(ACLU)は、政府の慌てぶりが、今回の法案がいかに重要なものであるかを示している、とコメントしている。
オバマ政権は、法案をどうにか否決に持ち込んだ。しかし、僅差での否決はNSAの問題だけでなく、シリアやエジプトの問題に比べ国内問題を軽視しているという、政権への国民の不満の表れでもある、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。