「自転車操業に限界」海外紙が中国経済の課題を指摘
24日、中国が「ミニ」景気刺激策を発表した。経済成長が鈍化し、今年7.5%のGDP成長目標が危ぶまれる中にあっても、バブルを警戒する中国政府は大規模な刺激策を否定して来たが、同日発表の予備データでは、製造業が11ヶ月ぶりの弱さに落ち込んでいた。
今回の刺激策は限定的なもので、李克強首相は、投資への依存を減らし国内消費とサービス業を増やす、経済モデルのリメイクが必要だと述べている。
【刺激の内容】
フィナンシャル・タイムズ紙は、下記のような政策内容を報じている。
・8月から、月売上高2万元(3250ドル)未満の企業の営業税(事業税)と増値税(付加価値税)を一時的に全廃する。数千万人を雇用する600万社に減税が及ぶ。
・政府は承認手続きを簡素化し、輸出企業のための管理コストを削減する。一時的に一次産品輸出のための検査料を取り消し、製造品の税関検査を合理化する。
・鉄道開発計画のため、資金調達チャネルを増やす。さらなる民間投資家の参加が奨励され、新しい債券商品が発行される。
中国国務院(内閣)は、「市場のエネルギーを喚起する」として、官から民への改革アプローチを謳っている。
国務院は前日、「共産党役人の派手な支出」という国民の不満を抑制するため、今後5年間、一切の新しい政府建物の建設禁止を定めていた。同紙は、その分の資金を供給者側に回そうとしている兆候だとも報じている。
【既にバブル崩壊後の光景】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は実際、投資頼みの成長志向路線は既に破綻していると論じている。同紙は、北京の南東約225kmにある、唐山市郊外・曹妃甸の工業団地開発プロジェクトが資金難で停止し、建設が途中停止したままゴーストタウンと化している状態を伝えた。
これは、910億ドルを投じ、胡錦濤元首席が視察し「金のように貴重」と評した一大プロジェクトであったが、中国全土で同時に似たようなプロジェクトを乱立させたため、入居する製鉄所などは供給過剰から赤字に陥った。
また、2000年から2010年の間に中国は28,000平方キロメートルの都市空間を拡大したが、人口が増えている大都市部にではなく、過疎化している地域ばかりが開発されたため、都市部では住宅高騰を、他の地域では暴落を招いた。
同紙は、政府あるいは地元政府の投資計画が「知名度は高いが冗長な大規模プロジェクト」にばかり集中した結果だと指摘し、「現金不足の小規模企業やサービス企業に使われていればもっと良かったかも知れない銀行融資を浪費した」と批判する。
「拡張と偽り」とも呼ばれる、前の借金を新たな借金で補填してプロジェクトを続けるような自転車操業的手法は、信用額は増やしても、実体経済への貢献には限界があるという。