中国政府への怒りの抗議か?北京空港爆発事件の真相

 20日18時24分頃、中国の北京国際空港第3ターミナル到着出口付近で、車いすの男が自作の爆発物を爆発させ、自身が負傷する事件があった。この事件による怪我人や運航への影響はなかったようだ。
 男は山東省菏沢市出身の冀中星容疑者(34)で、爆発の前にビラを配り、その場に居合わせた人々に離れるよう警告していたとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。目撃者によると、第2の爆発が起こらなかったため、その場に居合わせた人々は写真をとっていたと、USA・トゥデイは伝えている。

【ネット上に不満を公開か】
 今回の事件に関して、中国の国営メディアは詳細に関して明らかにしていない。ただ、一部メディアは、容疑者が書いたと思われるネット上での発言を取り上げいる。
 ツイッター上では、容疑者と思われる男の最新のツイート「果てしなく続けている嘆願に希望はほとんど持てない」がRTされていると、ロシア・トゥデイ紙は伝えている。
 また中国の一部メディアは、容疑者と同名の男が書いたブログの内容を報じている。それによると、容疑者は1999年より広東省南部でバイクタクシーの運転手として働いていたが、2005年、東莞市の治安要員に殴られたことで麻痺状態となり、障害を負ったため働けなくなった。そのため、賠償を求めて請願していたがうまくいかなかったようだ。
 ただ、このブログは現在確認する事ができず、容疑者の弁護士とされる人物に電話をかけても応答がなく連絡が取れない状態で、東莞市の警察もコメントを差し控えていると報じられている。

【聞き入れられない請願、不満が爆発】
 中国では、政府当局による虐待に関して、より上級の当局に請願する事で補償を求めることができるとされている。ただし裁判は高額で、裁判官は地元の共産党員が任命した者であるため、この制度によって賠償を得る事は難しいと報じられている。
 それでも、国家当局に請願するために北京に行く虐待被害者は多いが、結局、「裏監獄」と呼ばれる非公式の施設に入れられた後、地元の役人に連れ戻されると海外各紙は伝えている。
 近年、多くの人々が請願制度で補償を得られないことに反発し、一部は暴力による抗議活動に発展しているようだ。6月には、陳情者の失業者がアモイでバスに放火し、47人が死亡した事件があった事をウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
 中国の活動家や弁護士は、今回の爆発事件も、当局による暴行への抗議だとネット上で述べている事をロシア・トゥデイは伝えている。

Text by NewSphere 編集部