EU、イスラエルへの援助中止を決定 和平交渉への圧力強まる
ヨーロッパ連合(EU)は16日、イスラエルが入植を進めるヨルダン川西岸、東エルサレム、ゴラン高原にあるイスラエルの機関・団体への援助を停止することを明らかにした。
この新しい指針は、19日に正式に発表される予定で、来年発効される。
EUは、指針によりイスラエルに圧力をかけ、パレスチナとの領土問題解決を迫っていくとみられる。
これに対しイスラエルは「我々の国境問題に関して、外部からの指示は一切受け付けない」と強く反発している。
パレスチナ側は指針を歓迎している。
長年膠着している中東和平交渉の現状を海外各紙が報じている。
【存在感を示したい欧州】
ヨーロッパは、イスラエル・パレスチナ問題で指導的役割を演じようと模索していたという。
そして今回、これまで発言だけにとどまっていたEUが、やっと行動に出たと海外各紙が報じている。
EUは、イスラエルにとり最大の貿易相手だ。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、イスラエルは過去7年間で8億ユーロ(10億5000万ドル)の資金援助をEUから受けているという。
しかし現在でも、入植地への支援は、実はこのうちの約0.5%程度だ。
またEUは既に、占領地からの輸入品に関税を課している。
それでも、EUがイスラエルの入植活動に対し反対の態度をはっきり示したことは、大きな影響があるようだ。
EUは、指針はイスラエルとEUに関するもので、ヨーロッパの個別の国に関するものではないと説明しているが、現在ヨーロッパの一部の国が行っている入植地の生産品の非売運動がより拡大することになるのでは、とニューヨーク・タイムズ紙はみている。
また同紙は、EUがイスラエルを孤立させるため、さらに強硬な方策を取る可能性も指摘している。
【アラブと手を組んだ米国】
ケリー国務長官は16日、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談した。また、和平交渉合意に必要な協力を得るため17日には、ヨルダンのアブドゥッラー国王やアラブ諸国の代表とも話し合いを持った。
アラブ諸国は会談後、「アラブ諸国は、今日示されたケリー氏の提案が交渉再開のための好ましい前提で適切な環境を形作ると考える。」との声明を発表した。
またEUも、22日のケリー氏との話し合い後、米国への支持を表明する予定だという。
ニューヨーク・タイムズ紙は、米国は中東問題に関していまやパレスチナ側に重点を移したと指摘している。
EUと米国はともに、和平交渉再開にあたり、1967年の中東戦争以前の国境線を話し合いのたたき台とするようにイスラエルに求めている。
しかし、イスラエル側はこれを拒否している。