ASEAN地域フォーラム開幕 海外紙は各国の中国対応に注目
ASEAN地域フォーラム(ARF)外相会議が2日、ブルネイの首都バンダルスリブガワンで開幕した。
ARFは1994年、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に、日米中韓ロや欧州連合(EU)など27の国や機構が加わり発足した。2000年から北朝鮮も参加している。
会議では、中国とフィリピンなどとの南シナ海を巡る領有権問題や、北朝鮮の非核化などについて話し合われた。
【南シナ海問題】
ASEAN諸国の中でもフィリピンは、中国と領海問題で対立姿勢をはっきりさせている。フィリピン政府は国際海洋法裁判所に、国連が排他的経済水域と宣言している海域への中国の侵入を停止させるよう訴えた。
これに対し中国は、審問に応じることを拒否し、海域に対する中国の主権は自明のものだと主張している。お互い歩み寄る様子は全く見られないと、ボイス・オブ・アメリカは報じている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、埋蔵資源の豊かな南シナ海に関する中国と関係国の緊張は、以前に比べるといくらか緩和される可能性があるという。
実際、中国の王毅外相は5月に、多様な領海問題を解決するため、海域の行動規範を話し合う意思を示した。ただ現実的には、中国はこの話し合いに多くの条件を課すとみられ、意味のある話し合いになるのかは疑わしいようだ。
なお米国政府は、アジアに地域戦略の重点を移す計画のひとつとして、この地域の問題の平和的解決に寄与する姿勢を示している。軍事面だけでなく、政治面でも関係を深めようとしているようだ。米国とフィリピンは5月27日から5日間、問題の海域近くで合同海上軍事演習を行っており、中国を牽制している。
【世界が注目するASEAN】
一方、人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙は、ASEANは諸問題解決のため、地域機構としての求心性を確実にしようとしていると報じている。
6月30日に発表されたASEAN外相会議の共同声明でも、領有権問題のある海域での「行動規範」を策定するため、早期にハイレベルの協議を開始するとしている。
ただし、専門家は、人口やGDPの大きな国のみに決定を左右されることのないように、ASEAN自体が求心力を高める必要があると指摘している。現在同機関は、北朝鮮の非核化などの地域問題解決の主なプラットホームとなるまでに成長しているが、影響力の面で地域の大国に劣るという指摘もある。