親中路線の韓国大統領、訪中の成果は期待できるか?

 朴槿恵・韓国大統領は27日、中国を訪れ、習近平主席らと会談する。主な議題は北朝鮮の核問題や、貿易関係の強化になりそうだ。なお、韓国大統領が就任後、日本より先に中国を訪問するのは異例だ。

【朴大統領は親中派】
 朴大統領は、企業トップら70人以上を含めた、過去最大の訪中代表団を率いていると報じられている。中国と韓国は重要な貿易パートナーであり、昨年の双方向貿易額は2150億ドルに及ぶ(中国と北朝鮮は、60億ドル)。今回の訪問場所のひとつ西安にも、韓国サムスン社が70億ドルをかけた複合施設が建設中である。
 さらに朴大統領は、父親が反共主義者だったにも関わらず親中派であり、独学ながら中国語を流暢に話すと評されている。中国の報道では、四川料理や三国志の武将・趙雲が好きだと強調され、歓迎ムードで報じられているようだ。自伝「絶望は私を鍛え、希望は私を動かす」も、中国のアマゾンですでに人気だという。

【韓国、米中両にらみのコウモリ作戦】
 朴大統領はすでにオバマ米大統領と会談し、北朝鮮に対して「対話のための対話はしない」という態度で一致している。
 香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙は、韓国は「両方の超大国と仲良くする」必要があり、米国に対しては「民主主義の共通価値を強調し」、中国とは「儒教の話をする」作戦を取っているとの、専門家の見方を伝えた。

 一方ニューヨーク・タイムズ紙は、本来中国としては米国の同盟国である韓国と手を組むことは気が進まないが、北朝鮮を増長させないためには仕方がなく、それだけに一層、北朝鮮に対しいらだちを募らせているとも分析している。中国は国連の北朝鮮制裁決議にも賛成しており、最近訪中した北朝鮮の使節も冷遇されていたようだ。

【北朝鮮を動かせるのか】
 同紙は、中国が韓国と協調することは北朝鮮への明確なメッセージになると報じている。
 しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は、朴大統領が24日、「この中国訪問中に我々は、両国の協力を強化し、国際社会が要求する真の対話に北朝鮮をリードすべく最善の協調努力をなす必要があります」と決意を語ったのに対し、具体性に欠ける演説であり、実際どうやって北朝鮮を交渉のテーブルに連れ戻せるか、疑問が残るとも指摘している。

Text by NewSphere 編集部