米国人の62%、「ネット監視」を許容? その背景とは
米国家安全保障局(NSA)が、米大手IT企業のサーバーから「プリズム」と呼ばれる監視プログラムを使い、インターネット上の個人情報を収集していたと先週報じられた。
これを受けてグーグルは11日、国家安全保障上の請求に順守していたことについて「隠すことは何もない」とし、関連する情報の公開許可を政府に求めた。司法省は「グーグルの要請を検討する」と述べた。
一方、米自由人権協会(ACLU)は、監視プログラムは憲法上の権利侵害として訴訟を起こした。
海外各紙は、米政権体制を変革しようとする動きに注目した。
【米IT企業らの苛立ち】
米国では企業は外国諜報監視法(FISA)に基づき、国家安全上の請求を公表してはならない。
グーグルのドラモンド最高法務責任者は「これらの請求に我々が従い、米政府がユーザーのデータに自由にアクセスしたという、報じられている主張は単に間違っている」と述べた。
米フェースブック、米マイクロソフト、米ヤフーも声明を出し、一部「プリズム」への関与を否定したものの、裁判所命令によりデータを渡したことを認めた。
しかしFISAの規定により、命令の性質や範囲についてはどの企業も開示することはできなかったという。
【米政府内での反体制の動き】
オバマ政権は、ネット監視プログラムは外国人を対象とした「対テロ対策」と述べ、米国民へのプライバシー侵害はないと示唆した。
しかし米政府内では、監視プログラムは「プライバシー保護」と「対テロ対策」のバランスに打撃を与えるという反体制の声が高まっているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、クラッパー米国家情報長官の「NSAは米国民のデータを収集していない」という3月の発言をめぐって議論が起きていると報じた。
上院情報委員会のファインスタイン委員長(民主)は11日、NSAのアレクサンダー長官に監視プログラムの情報の機密扱いを解除するよう要請したという。
【米国民の反応】
一方、監視プログラムについて米国民の世論は若干無関心だという。
米国民の62%は、たとえ個人のプライバシーを侵害しようと、連邦政府がテロの脅威を調査するほうが大事と考えているという世論調査結果を、フィナンシャル・タイムズ紙は掲載した。
なお、56%がNSAの通話記録へのアクセスを「許容できる」と回答したという。