ラトビアがユーロ導入へ ECBが示す2つの懸念とは?
ラトビアが2014年1月からユーロを導入することが決まった。18ヶ国目のユーロ導入国となる。欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)はそれぞれ、ラトビアがユーロ導入のための基準を満たすと見解を示した。7月の欧州財務相会合で正式に決定される見通し。
欧州委のレーン副委員長(経済・通貨問題担当)は、ラトビアの導入はユーロが健全な兆しであり、「世界の金融市場へ強いシグナルを送るだろう」と述べた。
ラトビアのドンブロウスキス首相は、ユーロ導入に伴い同国は成長促進が見込めるとの期待を表明した。
一方、海外各紙は、欧州中央銀行(ECB)が発表した懸念について報じた。
【懸念1:ロシアマネー流出】
ECBは、ラトビアの総預金の約半分が非居住者預金であり、GDPの約40%にのぼると指摘した。これは、危機時に資金が流出するリスクを意味する。
主にロシアから租税回避地(タックス・ヘイブン)とみられていたキプロスが、今年初めに金融危機に陥った際には、キプロスはロシアマネーの流出を懸念し預金封鎖を実施した。ラトビアの非居住者預金も主にロシアからのものだという。
ただ、ラトビアの非居住者預金は主にビジネスと関連したもののため、キプロスよりは、ロシアマネー流出の被害を受けにくいとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
レーン副委員長は「銀行総資産と非居住者預金の割合が他の加盟国に比べ特に高い」としつつ、地下経済の規模と範囲を懸念するECBに同調し、マネーロンダリングのリスクを指摘した。
【懸念2:将来の経済見通し】
ECBはまた、「数値的収れん基準の一時的な達成は、円滑にユーロ導入できる保証ではない」「ラトビアが低インフレ率を維持できるかは中期的に試される」との見方を示した。
これに対しレーン副委員長は「ECBはスロバキアとエストニアが導入する際に同様の警告をしたが、両国ともユーロで成功している」と述べた。
同国の世論調査によると、多くのラトビア国民がユーロ導入に反対している。しかし同国は事実上既にユーロを導入しており、銀行融資はほぼユーロ建てとなっている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「促進キャンペーンを続け、ユーロ導入までに多数の支持を得たい」とするドンブロウスキス首相の見解を報じた。